ビオトープ管理士は転職に有利?1級・2級と計画・施工の違い、求人での評価

「ビオトープ管理士を取れば、環境調査や造園の仕事に転職するとき有利になるのかな」
「1級・2級、計画管理士・施工管理士と種類が多くて、自分はどれを目指せばいいのか分からない」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、ビオトープ管理士は、環境調査・土木・造園の実務経験がある人には、転職で評価されやすい資格です。とくに1級は国土交通省の登録資格で、会社が国や自治体の調査業務に応募するときに使えるため、求人の歓迎条件や資格手当・奨励金に挙がる例があります。

一方で、資格だけで採用が決まる資格ではありません。業務独占資格ではなく、今回読んだ求人でも必須にしているものは見つかりませんでした。また、1級は実務経験がなければ受験できず、2級は誰でも受けられる代わりに、国土交通省の登録資格には入っていません。

この記事では、主催団体の受験の手引きと国土交通省の登録簿、実際の求人票をもとに、1級・2級と計画・施工の違いを整理し、どんな人にどう効くのかを解説します。

結論:ビオトープ管理士は転職に有利?

結論は「実務経験と組み合わせると有利、資格単体では弱い」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
環境調査・土木・造園の実務経験あり
+
1級あり
◎ 会社が公共の調査業務に使える資格として評価されやすい 資格手当や奨励金を明記している会社を探す
同じ実務経験あり
+
資格なし
○ 実務年数が足りれば1級を目指せる 自分の経歴で1級の受験資格を満たすか確認する
実務未経験
+
2級あり
(または取得予定)
△ 知識の証明にはなるが決め手ではない 未経験歓迎の求人を選び、学んだ内容を応募先の仕事に結びつけて伝える

1級の受験には、学歴や持っている資格に応じた実務経験の年数が必要です。たとえば四年制大学を卒業した人なら、通算7年以上の実務が条件になります。2級は誰でも受けられます。詳しくは次の章で解説します。

ビオトープ管理士とは?1分でわかる基本情報

ビオトープ管理士は、公益財団法人日本生態系協会が運営する民間資格です。ビオトープとは、「生きもの(BIO)」と「場所(TOP)」を合わせたドイツ語で、地域の野生の生きものが生息・生育する空間のことです。その空間を守り、よみがえらせ、新しくつくるための計画・設計・施工を担う技術者が、ビオトープ管理士です。試験は環境省の環境教育等促進法に基づく環境人材認定事業に登録されています。

2026年度(令和8年度)試験の概要

項目 内容
主催 公益財団法人日本生態系協会
資格の種類 民間資格(業務独占ではない)。1級は国土交通省の登録資格
種類 計画管理士・施工管理士の2部門 × 1級・2級の4種類。全て同じ日に実施されるため、申込時に1つを選ぶ
受験資格 2級は誰でも受験できる。1級は学歴・資格に応じた実務経験が必要
申込期間 2026年6月1日〜9月14日(消印有効・受付終了)
筆記試験 2026年11月1日(日)。全ての級・部門が全国で一斉に実施
口述試験 1級の筆記試験合格者のみ。2027年1月16日(土)、会場は東京都内
合否通知 筆記は2026年12月24日(木)(2級はこの日に認証書も送付)。1級の口述の合否は2027年2月22日(月)に認証書とあわせて送付
受験料 1級11,300円、2級7,200円(税込。1級の筆記試験合格者が再受験する場合は5,100円)
出題形式 1級:筆記(択一50問・記述4問・小論文1問)+口述/2級:択一50問・小論文1問
合格基準 択一は科目ごとに正解60%以上。1級はこのうえで記述・小論文・口述の基準も満たす
合格率 1級 約33%、2級 約52%(2025年度・令和7年度)
認証・更新 合格すると認証書が送られる。更新制度はなく、受験手数料以外の登録料・更新料もかからない(認証書の再発行は有料)

出典:受験の手引き(令和8年度)、ビオトープ管理士 公式サイト、環境省 環境人材認定等事業データベース (2026年10月3日確認) ※令和9年度の日程は、確認した時点で公式サイトに掲載がありません。受験前に必ず協会の最新の受験の手引きを確認してください。

1級・2級と計画・施工は、何が違うのか

ビオトープ管理士は、専門が違う2つの部門と、難易度が違う2つの級に分かれます。

部門 資格名 専門科目で問われること 向いている仕事
計画 ビオトープ計画管理士 都市計画・農村計画・地域計画などで、自然生態系の保護・保全・復元・創出を目的にした構想・計画・設計と、関連する法制度 環境調査・コンサルタント、地域計画を立てる仕事
施工 ビオトープ施工管理士 河川・海岸・道路・農地・公園・里山・森林・庭などで、野生生物の生息・生育空間を守り、復元し、つくるための設計・施工全般と、関連する法制度 土木・造園など、設計・施工の現場を担当する仕事

級は、協会の説明では、1級が「経験が豊富な、事業の責任者のレベル」、2級が「基礎的な知識がある技術者のレベル」です。1級だけ受験資格があり、筆記試験のあとに口述試験があります。

通常の受験では、どの級・部門でも、択一問題の共通科目として「生態学」「ビオトープ論」「環境関連法」が出ます。部門ごとに違うのは、専門科目の20問です。

1級の受験資格は、学歴や資格で必要な実務年数が変わる

1級は、次の①〜⑦のうちいずれか1つを満たす必要があります。

  • ① 四年制大学を卒業後、通算で満7年以上の実務
  • ② 大学院を卒業後、通算で満5年以上の実務
  • ③ 短期大学・専門学校・高等専門学校のいずれかを卒業後、通算で満9年以上の実務
  • ④ 高等学校を卒業後、通算で満11年以上の実務
  • ⑤ 技術士(建設・農業・森林・水産・環境の5部門に限る)、1級土木施工管理技士、1級造園施工管理技士のいずれかを取得後、通算で満4年以上の実務
  • ⑥ 2級ビオトープ計画管理士、2級ビオトープ施工管理士、2級土木施工管理技士、2級造園施工管理技士のいずれかを取得後、通算で満7年以上の実務
  • ⑦ 上のどれにも当てはまらない場合、通算で満14年以上の実務

ここで押さえておきたいのは、⑤と⑥の使い方です。技術士や1級の施工管理技士を持っている人は、4年の実務で1級に届きます。高校卒(11年)や短大・専門学校卒(9年)の人は、2級ビオトープ管理士や2級の施工管理技士を取っておくと、必要な年数が7年に短くなります。四年制大学卒の人は、①と⑥がどちらも7年なので、2級を経由しても年数は変わりません。

ここでいう「実務」は、地域計画の事業(都市計画・農村計画など)での構想・計画・設計、土木工事や造園工事の現場設計・施工、野生生物の調査や自然環境の保護・復元に関する活動などです。教育機関での継続的な指導、環境NGOでの継続的な活動、自治体などの自然環境に関わる委員会の委員経験も含まれます。

勤務先がこうした事業を扱っていても、受験する本人にその経験がなければ「実務」とは認められません。同じ期間を複数の実務で重ねて数えることもできません。受験申込時には実務経験証明書を出し、不備や不正が見つかると、受験資格・合格・認証が取り消されます。

出典:受験の手引き(令和8年度)(2026年10月3日確認)

転職でビオトープ管理士が評価される理由

1級は、会社が国や自治体の調査業務に使える登録資格になる

1級ビオトープ計画管理士と1級ビオトープ施工管理士は、国土交通省が登録する「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」です(登録番号は品確技資第250号・第251号)。登録簿では、施設分野が「建設環境」、業務が「調査」、知識・技術を求める者が「管理技術者」と区分されています。

国土交通省は、この登録資格の保有者を、総合評価落札方式で加点評価するなどの方法で活用すると説明しています。国や自治体の環境調査業務に応募する建設コンサルタントや環境調査会社にとって、1級の保有者は、調査業務の責任者(管理技術者)として配置できる人です。会社が1級の取得を奨励し、手当や奨励金を用意する理由は、ここにあります。ただし、実際に加点されるかは、案件ごとの入札説明書で決まります。

2級は、この登録資格には入っていません。一方で、有資格者の団体である日本ビオトープ管理士会がまとめた活用事例(2019年)には、環境省の参加資格審査で保有者数を書く欄に級・部門を問わず載せられる例、国土交通省の地方整備局の業務で管理技術者の要件の一つに級・部門を問わず採用された例、東京都の公園の業務委託で1級計画管理士に限った例があります。発注者によって、2級が認められるか、1級だけが認められるかが違います。協会は、資格の保有者だけが扱える「ビオトープ事業」も近年は増えていると説明していますが、法律で保有者にしかできない仕事が決まっているわけではありません。

出典:ビオトープ管理士 公式サイト、国土交通省 技術者資格登録簿(令和8年2月27日時点)、国土交通省 登録資格の概要、ビオトープ管理士の資格が活用されている事例の一部(日本ビオトープ管理士会)(2026年10月3日確認)

求人では、必須ではなく「歓迎・優遇・手当・奨励金」の形で出る

求人ボックスで「ビオトープ管理士」を検索すると、全国で208件が表示されます(雇用形態は絞らず、2026年10月3日に確認)。ただし、この中には、園庭にビオトープがある保育園や、店名・施設名にビオトープを含む飲食店・介護施設も混ざっています。1〜4ページ目の43件を開いて本文を読んだところ、資格名が出てくる求人は9件で、そのうち必須にしている求人はありませんでした。

9件の書かれ方は、次のとおりです。

  • 歓迎条件に挙げる:環境調査の派遣求人、造園施工管理の会社
  • 優遇する資格に挙げる:自然環境保全のコンサルティング会社
  • 応募条件欄に環境関連の資格の例として並べる:環境技術者を募集する建設コンサルタント
  • 資格手当・資格給の対象に挙げる:造園の会社、自然環境調査の会社、土木会社
  • 取得時に奨励金・ボーナスを出す:道路・橋梁設計の建設コンサルタント、造園の会社

金額まで書いていたのは、建設コンサルタントの綜合技術コンサルタントの1件でした。この会社は、技術士の取得者に毎月3万円の資格手当を出し、1級ビオトープ管理士は合格時に10万円の一時金を支給すると書いています(新卒・既卒向けの総合職求人の自己啓発制度欄)。ほかの8件は、手当の対象であることは書いてあっても、金額は載っていません。金額は、面接や内定後の条件確認で聞くことになります。

出典:求人ボックス 検索結果、綜合技術コンサルタント、箱根植木、PCER、加藤建設、庭樹園(2026年10月3日確認。手当や奨励金は会社により異なります)

仕事の中身が、試験で問われる内容と重なる

求人票の仕事内容は、試験範囲と重なっています。自然環境保全のコンサルティング会社の求人には、外来種の防除、公園・企業緑地の管理計画づくり、自然共生サイトの申請支援、公園の池のかいぼりの運営が並びます。環境技術者を募集する建設コンサルタントの求人には、動植物の同定を含む生態系調査と、環境に配慮した施設の計画・設計が書かれています。

共通科目の「生態学」「ビオトープ論」「環境関連法」と、計画・施工の専門科目を学んだことは、生きものの知識と法令と計画・施工の考え方を一通り身につけた証明として読まれやすいのです。

出典:ポリテック・エイディディ、宇部セントラルコンサルタント(2026年10月3日確認)

ビオトープ管理士が転職で有利にならないケース

ここまで読むと心強い資格に見えますが、有利にならないケースも正直にお伝えします。

(1)資格だけで、環境・建設・造園の実務経験がない場合

業務独占資格ではないため、資格があるから任せられる仕事はありません。経験者を条件にした求人も多く、自然環境保全のコンサルティング会社は実務5〜20年程度、自然環境調査の会社は現地調査の経験2年以上を求めています。2級だけで経験者と同じ評価にはなりません。

(2)2級だけで、公共の調査業務の資格要件を満たそうとする場合

国土交通省の登録資格に入っているのは1級だけです。公共の調査業務に応募する会社が1級の保有者を求めている場合、2級では要件を満たせないことがあります。調査会社や建設コンサルタントを目指すなら、2級を足がかりに1級を目指す計画を立てておきましょう。

(3)環境・建設・造園・自治体と関係のない仕事に移る場合

評価されるのは、環境調査会社、建設コンサルタント、造園・土木の会社、自治体、教育機関などです。これらの外では資格名が知られていないことが多く、採用の判断材料にはなりにくいでしょう。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。経験とセットで見せれば、他の応募者との差になる資格です。次の章で、タイプ別の活かし方を見ていきます。

【タイプ別】あなたの場合、ビオトープ管理士は武器になる?

環境調査・コンサルの経験者は、1級計画管理士を「管理技術者の資格」として持ち込める

動植物の現地調査や報告書づくりをしている人が1級を取ると、国や自治体の調査業務で管理技術者として配置できる資格が1つ増えます。転職先から見れば、公共の調査業務に使える技術者が1人増えるということです。

技術士(環境部門など)を持っている人は、⑤の受験資格を使えるため、実務4年で1級に届きます。

ただし、資格が実際に使われるかどうかは、会社が国や自治体の調査業務を受注しているかで変わります。面接で「公共の調査業務で、1級を管理技術者の要件に使うことはありますか」と聞いておくと、入社後の評価のされ方が見えます。

環境分野を専門に扱うエージェントは、一般の求人サイトに出ていない非公開求人も持っていると案内しています。業界を知る担当者に、資格の使われ方まで含めて相談してから応募すると、入社後のミスマッチを減らせます。

土木・造園・施工管理の経験者は、1級施工管理士を現場担当の強みにできる

1級土木施工管理技士や1級造園施工管理技士を持っている人は、⑤の受験資格で、実務4年から1級ビオトープ施工管理士に挑戦できます。

求人では、造園施工管理の会社が、必須の資格として造園または土木の施工管理技士を挙げ、歓迎する資格にビオトープ管理士を並べています。1級ビオトープ管理士を資格手当の対象にしている造園の会社や、各種の施工管理技士や技術士と並べて手当の対象にしている土木会社もあります。

公園・河川・里山の工事では、生きものの生息空間に配慮した設計と施工を説明できる人が求められます。施工管理技士に上乗せする形で、現場での自然環境への配慮を言葉にできる、という強みになります。

施工管理技士の経験を活かして移るなら、建設分野の求人を扱うエージェントで、手当や担当する工事の種類を比べてから決めると安心です。

学生・実務未経験の人は、2級で知識を示し、経験を積める入口の求人を選ぶ

環境省のページによると、令和6年度に認定された748名のうち、学生は203名(約27%)で、内訳では最も多くなっています。続いて土木・建設・建築業が135名、環境系コンサル業が102名、公務員が38名、造園業が33名でした。学生のうちに2級を取る人が多い資格です。

ただし、求人側の条件は厳しめです。自然環境の調査会社やコンサルティング会社は経験者を対象にしています。一方で、造園の会社には未経験歓迎の求人があり、そのなかで資格手当の対象や、取得時のボーナスの対象にビオトープ管理士を挙げる会社があります。新卒採用でも、土木会社が資格手当の対象に挙げています。

未経験から応募するなら、**「2級で学んだ生態学や環境関連法を、応募先のどの仕事で使いたいか」**を具体的に書くことが大切です。まず現場で実務を積み、受験資格に必要な年数がたったら1級を目指す、という順番が現実的です。

出典:環境省 環境人材認定等事業データベース(認定者の業種別内訳は、合計が令和6年度の認定者数748名と一致)、箱根植木、庭樹園、テラヤマ、加藤建設(2026年10月3日確認)

ビオトープ管理士を活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の位置づけ 給与の目安(求人記載)
環境技術者(建設コンサルタント) 生態系調査、環境に配慮した施設の計画・設計、管理技術者としての業務と若手の指導 応募条件欄の資格の例(技術士・RCCMなどと並ぶ)。経験者のみ、大卒以上 月給40万〜50万円(想定年収600万〜750万円。みなし残業月20時間分・5万円を含む)
自然環境保全のコンサルタント 外来種の防除、緑地の管理計画、自然共生サイトの申請支援など 1級・2級とも優遇。実務5〜20年程度の経験者を募集 月給30万〜55万円(想定年収510万〜900万円)
自然環境調査スタッフ 鳥類・植物などの現地調査、結果のとりまとめ 資格給の対象(金額の記載なし)。現地調査の経験2年以上が条件 月給20万〜45万円(想定年収300万〜600万円)
造園施工管理 公園・街路樹の工事や維持管理の施工管理、公園の指定管理 歓迎資格。必須は造園または土木の施工管理技士 月給35万円〜(基本給28万円〜と固定残業代7万円〜〈45時間分〉を含む)、賞与年2回
造園の工事・メンテナンスの監督 現場の監督、協力業者の選定、顧客との折衝 1級が資格手当の対象(金額の記載なし)。未経験歓迎 月給24.7万〜50万円(年収例350万〜700万円)

出典:宇部セントラルコンサルタント、ポリテック・エイディディ、PCER、テラヤマ、箱根植木(2026年10月3日確認) ※給与は職務・勤務地・経験・残業代の扱いで大きく変わります。資格の保有者の平均年収ではありません。

このほか、札幌市の環境調査の派遣求人(建設コンサルタント向け、時給1,650円〜)が、歓迎する資格にビオトープ管理士を挙げています(エル・コーエイ、2026年10月3日確認)。

あわせて取得すると強い資格

技術士(環境部門・建設部門など)

建設コンサルタントや環境調査会社の求人で、ビオトープ管理士と並んでよく挙がる資格です。受験資格⑤にも使えるため、先に技術士を取れば、実務4年で1級に挑戦できます。調査・設計の責任者を目指す人は、組み合わせると評価が上がります。

RCCM(建設環境)

建設コンサルタンツ協会の資格で、1級ビオトープ管理士と同じ「建設環境」「調査」「管理技術者」の区分で国土交通省に登録されています。調査業務の管理技術者として、資格の選択肢が増える組み合わせです。

造園施工管理技士・土木施工管理技士

受験資格⑤⑥に使える国家資格で、造園・土木の求人では必須条件にもなっています。ビオトープ管理士が「生きものに配慮した計画・施工の知識」を示すのに対し、施工管理技士は「工事を管理できる資格」です。現場で働くなら、この2つの組み合わせが基本です。

自然再生士・生物分類技能検定

自然再生士(日本緑化センター)は、RCCMと同じ「建設環境」「調査」「管理技術者」の区分で登録されている資格です。生物分類技能検定(自然環境研究センター)は生物の分類の知識を測る検定で、1級・2級の登録者は環境省の一般競争参加資格審査で有資格者として認められています。自然環境保全のコンサルティング会社の求人は、この2つをビオトープ管理士と並べて優遇しています。現地調査で種を見分ける力を示したい人に向きます。

出典:国土交通省 技術者資格登録簿(令和8年2月27日時点)、自然環境研究センター 生物分類技能検定、受験の手引き(令和8年度)(2026年10月3日確認)

ビオトープ管理士に最短で合格するには

択一は科目ごとに6割。1科目でも落とすと不合格になる

択一問題は、共通科目の生態学・ビオトープ論・環境関連法(各10問)と、受ける部門の専門科目(計画または施工、20問)の4科目に分かれます。合格基準は科目ごとに60%以上で、10問なら6問以上、20問なら12問以上の正解が必要です。合計点が高くても、1科目が基準に届かなければ合格できません。

勉強の材料は、協会が次の3つを用意しています。

  • 公式テキスト:『改訂版 ビオトープ管理士資格試験 公式テキスト』。2級の計画・施工に対応し、1級の基礎勉強にも使えると協会が説明しています
  • 過去問題:過去3年度分の問題と択一問題の正答を、無料で登録できるエコネット会員のページから見られます
  • オンラインセミナー:公式テキストと過去問題、環境関連法の資料で、択一問題(計画・施工の専門科目を含む5科目)の要点を学ぶ講座です。主な対象は2級で、1級の択一問題も大部分をカバーすると案内されています

注意したいのは、環境関連法の出題範囲です。自然環境や野生生物を守る法制度が範囲で、都市計画・農村計画に直接関わる法令は計画部門で、土木や造園に直接関わる法令は施工部門で出るなど、出る科目が分かれます。科目ごとの基準があるので、苦手な科目を捨てる勉強法は向きません。

1級は、択一のあとに記述・小論文・口述がある

1級は、択一問題の基準を全て満たした人だけが記述問題を採点され、記述問題の基準を満たした人だけが小論文を評価され、最後に口述試験へ進みます。

  • 記述問題(4問):ビオトープ事業の現場に近い内容で、400字以内が原則です。作図を求められる問いもあります。4問とも、A〜Dの4段階評価でAまたはBを取る必要があります
  • 小論文(1問・800字以内):ビオトープ管理士としての意志や信念を問うもので、「可」で合格です。2級は400字以内です
  • 口述試験:試験官との質疑応答が1人あたり約15分です。受験申込書に書いた所属や業務内容について、質問されることがあります

記述と口述は、実務の経験がそのまま出る試験です。普段の業務で、なぜその調査や設計にしたのかを自分の言葉で説明する練習が、いちばんの対策になります。

計画と施工、2級と1級は、順番を考えて受ける

試験は年に1回で、4種類のうち1つしか受けられません。部門の違いと受験資格をもとに、今回はどれを受けるかを決めます。

すでにビオトープ管理士を持っている人が、同じ級のもう一方の部門を受けるときは、「他部門受験」で択一の共通科目が免除されます。2級は期限なしですが、1級はもう一方の部門を取った翌年度に限られます。2級には、協会が認定した学校の学生・卒業生(卒業後5年未満)の択一が半分免除される制度もあります。

公式テキストは1級の基礎勉強にも使えるため、2級で基礎を固めておくと、1級に進むときの土台になります。ただし、2級と1級は出題内容が異なり、2級を1級の滑り止めにすることはできません。

出典:受験の手引き(令和8年度)、ビオトープ管理士 公式サイト(2026年10月3日確認)

ビオトープ管理士を活かして転職を成功させる進め方

資格が評価される求人を探す

求人検索では、「ビオトープ管理士」だけでなく、「自然環境調査」「環境アセスメント」「生物多様性」「造園施工管理」「公園管理」といった言葉でも探してみましょう。資格名が書かれていなくても、同じ知識を求めている求人はあります。

一方で、「ビオトープ」だけで検索すると、園庭にビオトープがある保育園や、店名にビオトープを含む飲食店の求人も表示されます。資格名の後ろに「管理士」を付けて絞ると、探しやすくなります。

職務経歴書で、資格と実務をつなげる

「ビオトープ管理士 取得」と書くだけでは、何ができる人なのかが伝わりません。どんな調査や工事で、何を担当し、生きものや自然環境のために何を変えたのかを書きます。

たとえば、「河川改修の環境調査で、鳥類と植物の現地調査と報告書の取りまとめを担当し、工事の範囲を見直す提案をした」「公園の池の改修工事で、在来の水生植物を残す施工手順を現場で調整した」といった書き方です。1級を受けた人は、受験時に実務経験証明書へ書いた内容と、口述試験で聞かれた内容が、そのまま職務経歴書の材料になります。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを、仕事をしながら1人で進めるのは大変です。そして何より、環境や造園・土木の経験者ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由は、この資格の価値が、求人票だけでは読み取りにくいからです。手当の金額が書かれていない求人が多く、国や自治体の調査業務で資格が使われるかどうかも、求人票には載りません。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

年収や資格手当・奨励金の条件を相談できる

「資格手当はいくらか」「取得時の奨励金はあるか」を、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントは企業との間に入り、条件の確認や交渉をしてくれます。「環境調査の経験があり、1級計画管理士を持っている」という強みを企業が評価しやすい形で伝えてもらえるため、提示される年収が変わることもあります。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「公共の調査業務に関わりたい」「現場より計画に近い仕事がしたい」「今より出張を減らしたい」。希望を伝えると、条件に合う求人を紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人に出会えることもあります。

入社前に職場の実情を確認してもらえる

資格手当の対象か、国や自治体の調査業務をどのくらい受注しているか、宿泊を伴う現地調査はどれくらいあるか。入社してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に確認してもらえます。

書類や面接の対策をしてもらえる

調査や工事の経験を職務経歴書にどう書けば伝わるか、面接で「なぜその設計にしたのか」をどう説明するかを、アドバイスしてもらえます。

面接の日程調整を任せられる

面接の日程調整や企業とのやり取りを代わりにしてもらえるので、現場や調査の仕事を続けながらでも転職活動を進められます。

さらに、これらはすべて無料です。エージェントは採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みなので、求職者がお金を払うことはありません。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • 資格を取ったのに、今の会社では手当も評価も変わらない
  • 今の年収に満足していない
  • 調査や施工の現場に偏っていて、計画や設計にも関わりたい
  • 公共の調査業務に使われる資格を、きちんと評価してくれる会社で働きたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と資格なら、どんな条件の求人があるのかを聞くだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
エコリク(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(環境・サステナビリティ) 環境・生物多様性・サステナビリティ分野の求人を扱う。「コンサルタント(建設・環境)」「調査・研究員」などの職種で探せる 環境調査・環境コンサルの経験を活かして移りたい人
建設転職ナビ(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(建設・造園) 土木施工管理・造園施工管理・エクステリア(造園)設計など、建設技術職の求人を扱う 施工管理や造園の現場経験を活かして移りたい人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 公開・非公開の求人が多く、業界を絞らずに比べられる 環境・建設・自治体関連・企業の環境部門まで、幅広く比較したい人

迷ったら、業界特化型と総合型を1社ずつ、2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の市場価値がより正確にわかります。

よくある質問

ビオトープ管理士は意味ない資格ですか?

業界外への転職では評価されにくいですが、環境調査・建設・造園の分野では、求人の歓迎条件や資格手当・奨励金の対象になっています。とくに1級は、国土交通省の登録資格として、会社が公共の調査業務に使える資格です。経験とセットで見せることで意味のある資格です。

未経験でも受験できますか?

2級は、受験資格がなく誰でも受験できます。1級は、学歴や持っている資格に応じた実務経験が必要で、たとえば四年制大学を卒業した人なら通算7年以上の実務が条件です。実務経験が足りないうちは、2級から始めましょう。

計画管理士と施工管理士は、どちらを選べばいいですか?

地域計画や環境調査に関わる人は計画管理士、河川・道路・公園・森林・庭などの設計・施工の現場を担当する人は施工管理士が合います。迷ったときは、自分の実務経験が専門科目と重なるほうを選ぶのが近道です。どちらかに合格すれば、同じ級のもう一方の部門を、共通科目の免除つきで受けられます(1級は取得の翌年度のみ、2級は期限なし)。

資格手当はいくらくらいですか?

求人票に金額まで書いてある例は少なく、読んだ9件のうち1件でした。その会社は、1級ビオトープ管理士に合格時の一時金10万円を支給すると書いています。手当の対象かどうかと金額は会社ごとに違うため、応募前に確認しましょう。

資格の更新は必要ですか?

更新制度はなく、受験手数料以外の登録料・更新料もかかりません。協会には、自己研鑽の実績を記録する「ビオトープ管理士継続教育」の制度がありますが、任意です。

まとめ:あなたの次の一手

ビオトープ管理士は、環境調査・土木・造園の実務経験がある人にとって、生態系に配慮した計画・施工ができる人材だと示せる資格です。とくに1級は国土交通省の登録資格で、会社が公共の調査業務に使えます。一方で、業務独占資格ではなく、求人で必須にされる資格ではないため、資格単体で採用が決まるわけではありません。

あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。

転職相談先を比較する

\今よりいい職場へ/

転職相談先を比較する

参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。