資格×転職
PR事業用操縦士(飛行機・回転翼)は転職に有利?取得の条件と、求人で見られる飛行経験・限定
「事業用操縦士を取れば、パイロットとして転職できるのかな」 「費用も時間もかかるのに、取っても応募できる求人がなかったらどうしよう」
そう迷っていませんか?
結論を先に書くと、事業用操縦士は、お金をもらって飛行機やヘリコプターを操縦する仕事に就くための、入口になる国家資格です。報道・測量・ドクターヘリ・航空会社の副操縦士などの求人は、この資格を応募の前提にしています。
一方で、資格を取っただけで応募できる求人は多くありません。募集要項に書かれているのは、総飛行時間や機長としての飛行時間、ヘリコプターならタービン機の限定、有効な身体検査証明書といった条件だからです。
この記事では、国土交通省の資料と、実際に公開されている募集要項をもとに、事業用操縦士が転職でどう使われるのかを、飛行機と回転翼航空機(ヘリコプター)に分けて解説します。
結論:事業用操縦士は転職に有利?
結論は「飛行経験と組み合わせると有利、資格単体では応募先が限られる」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。
| あなたの状況 | 転職での有利さ | 次の一手 |
|---|---|---|
| 事業用操縦士あり + 飛行時間を積んでいる |
◎ 運航会社や自治体の募集に応募できる | 募集要項の時間・限定・年齢を照らし合わせる |
| 事業用操縦士あり + 飛行時間が少ない |
△ 時間条件のない募集か、経験を積める職場を探す段階 | 時間の条件が書かれていない募集を探す |
| 資格なし + これから取る |
○ 取得後の道は広いが、費用と期間が大きい | 取得ルートと費用を先に確かめる |
事業用操縦士の受験には、年齢と飛行経歴の条件があります。つまり、「飛行訓練を受けずに学科試験だけで取る」ことはできません。詳しくは次の章で解説します。
事業用操縦士とは?1分でわかる基本情報
事業用操縦士は、航空法に基づく技能証明(パイロットのライセンス)の一つで、国土交通大臣が与える国家資格です。業務範囲は航空法の別表に決められていて、次の行為ができます。
- 自家用操縦士ができること(報酬を受けない無償の運航での操縦)
- 報酬を受けて、無償の運航を行う航空機を操縦すること
- 航空機使用事業(農薬散布・航空写真撮影・遊覧飛行など)の航空機を操縦すること
- 機長以外の操縦者として、航空運送事業の航空機を操縦すること
- 機長として、一人の操縦者で操縦できる航空運送事業の航空機を操縦すること
ここで押さえておきたいのが、二人で操縦する旅客機の機長は、事業用ではなく定期運送用操縦士の業務範囲だという点です。事業用操縦士は、航空会社では機長以外(副操縦士)として操縦できます。
技能証明は「飛行機」「回転翼航空機(ヘリコプター)」など、航空機の種類ごとに限定されます。さらに、エンジンの数や種類で分けた等級(陸上単発ピストン機、陸上多発タービン機など)と、大型機の型式も限定の対象です。飛行機の技能証明で、ヘリコプターは操縦できません。
出典:航空法 別表(業務範囲)、航空法施行規則 第53条(限定)、国土交通省 航空従事者の技能証明の種類・限定について (2026年10月4日確認)
試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験を行う機関 | 国土交通省 航空局(学科試験と実地試験の2段階) |
| 資格の種類 | 国家資格(航空法に基づく技能証明) |
| 受験できる年齢 | 18歳以上 |
| 学科試験の科目 | 航空気象・航空工学・航空法規・航空通信・空中航法の5科目(各40分) |
| 学科試験の方式 | パソコンで解答するCBT方式 |
| 合格基準 | 公表されている過去問では、各科目20題・1問5点・100点満点で70点以上 |
| 科目合格 | 最初に全科目を受けた結果通知書の日付から1年以内に、残りの科目に合格すればよい |
| 実地試験 | 学科合格の通知から2年以内に受験。受験者が試験に使う航空機を用意する |
| 国に納める手数料 | 学科試験 5,600円、実地試験 56,500円(飛行機・回転翼・飛行船)。CBT会場の予約にかかる費用は、試験会社のページで確認 |
| 身体検査 | 航空機に乗り組むには第一種航空身体検査証明が必要 |
| 合格率 | 国土交通省の学科試験のページでは、過去問と解答は公開されているが、合格率は確認できなかった |
出典:国土交通省 航空従事者技能証明等申請・学科試験、航空従事者学科試験科目及び試験時間(事務処理要領の新旧対照表)、令和5年7月期 事業用操縦士(飛・回)問題、航空従事者技能証明等に関するよくある問い合わせ、航空法施行規則 第48条、航空法関係手数料令 別表第三、国土交通省 航空従事者技能証明等の試験について (2026年10月4日確認) ※受験前に必ず国土交通省の最新の案内を確認してください。
学科試験の日程(令和8年度の予定)
学科試験は年6回行われ、受験には「試験会社での会場予約」と「航空局への申請」の両方が必要です。予約だけでは正式な学科試験とは認められず、合格しても結果通知書が届きません。
| 試験期 | 会場の予約(CBT) | 航空局への申請 | 試験期間 |
|---|---|---|---|
| 令和8年11月期 | 令和8年9月29日〜10月22日 | 令和8年10月14日〜10月22日 | 令和8年11月5日〜11月14日 |
| 令和9年1月期 | 令和8年11月20日〜12月15日 | 令和8年12月8日〜12月15日 | 令和9年1月6日〜1月16日 |
| 令和9年3月期 | 令和9年1月21日〜2月16日 | 令和9年2月8日〜2月16日 | 令和9年3月2日〜3月11日 |
出典:令和8年度航空従事者技能証明等に関する学科試験の実施時期及び時間割について(日程は予告なく変更されることがあります) (2026年10月4日確認)
受験には飛行経歴が必要
実地試験を申請するまでに、次の飛行経歴を満たしておく必要があります。
| 項目 | 飛行機 | 回転翼航空機 |
|---|---|---|
| 総飛行時間 | 200時間以上 | 150時間以上 |
| 機長としての飛行 | 100時間以上 | 35時間以上 |
| 野外飛行(機長として) | 出発地点から540km以上、途中2回以上の生地着陸を含む20時間以上 | 出発地点から300km以上、途中2回以上の生地着陸を含む10時間以上 |
| 夜間の飛行 | 機長として5回以上の離着陸を含む5時間以上 | 同じ |
| 計器飛行 | 10時間以上 | 10時間以上 |
| 回転翼のみ | ― | オートローテーション(エンジン停止状態の着陸)の実施 |
航空大学校や指定航空従事者養成施設で訓練を受ける場合は、飛行機で飛行訓練150時間以上(うち機長として70時間以上)、回転翼航空機で飛行訓練100時間以上が条件になります。模擬飛行装置(シミュレーター)の時間の一部を充当できるなど、細かい規定もあるため、申請前に航空法施行規則の別表第二で確認してください。
出典:航空法施行規則 第43条・別表第二 (2026年10月4日確認)
身体検査は定期的に受け直す
航空機に乗り組んで操縦するには、技能証明に加えて、第一種航空身体検査証明が必要です(航空法 第28条)。有効期間は原則1年です。旅客を運ぶ航空運送事業の航空機を一人で操縦する場合は40歳以上で6か月、二人以上で操縦する航空運送事業の航空機に乗り組む場合は60歳以上で6か月になります。
出典:航空法 第28条・第31条、航空法施行規則 第61条の3 (2026年10月4日確認)
転職で事業用操縦士が評価される理由
報酬を得て飛ぶ仕事は、この資格が前提になる
国土交通省は、有償で遊覧飛行・農薬散布・航空写真撮影などを行う場合は事業用操縦士の資格が必要だと案内しています。つまり、運航会社や航空会社の操縦士の募集では、この資格が「歓迎」ではなく「応募の前提」として書かれています。
出典:国土交通省 航空従事者のよくある質問 (2026年10月4日確認)
募集要項では、資格のほかに時間・限定・年齢が見られる
実際に公開されている募集要項を見ると、事業用操縦士の資格は共通の条件で、そのうえで会社ごとに別の条件が加わっています。
| 募集 | 資格・限定 | 飛行時間 | 年齢 |
|---|---|---|---|
| 中日本航空(ヘリコプター操縦士) | 事業用(回転翼)の陸上単発タービン機または陸上多発タービン機 | 機長時間 40歳未満500時間以上、40歳以上50歳未満1,000時間以上 | 50歳未満 |
| 中日本航空(飛行機操縦士) | 事業用以上、陸上単発/多発、計器飛行証明(40歳以上は陸上多発) | 40歳未満は総飛行時間1,000時間程度以上、40歳〜50歳半ばは2,000時間程度以上 | 50歳半ばまで |
| オールニッポンヘリコプター(ヘリコプター操縦士) | 事業用(回転翼)の陸上多発タービン | 総飛行時間1,000時間以上 | 45歳以下 |
| AIRDO(B737/B767副操縦士要員) | 事業用、5.7t以上の型式限定、計器飛行証明 | 日本の定期航空会社での副操縦士の運航経験 | 60歳以上は契約社員 |
出典:中日本航空 キャリア採用、ANHオールニッポンヘリコプター 採用情報、AIRDO B737/B767副操縦士要員 募集要項 (2026年10月4日確認。募集は随時変わります)
ほとんどの募集で、航空無線通信士の資格と有効な第一種航空身体検査証明書も条件に入っています。航空無線通信士は別の記事で解説しています。
操縦士の担い手は不足気味で、国が対策を進めている
国土交通省が令和8年6月にまとめた資料では、ヘリコプター操縦士は約1,335人で横ばいです。50歳以上が約50%を占め、ドクターヘリの機長は約71%、消防防災ヘリの機長は約65%が50歳以上です。ドクターヘリや消防防災ヘリでは、機長に飛行経歴1,000時間以上が必要とされています。
背景には、ドローンの普及で農薬散布や空撮の飛行が約6割減り、若手が飛行経験を積む場が減ったことがあります。養成だけを目的とした飛行は1飛行時間あたり約30万円かかるとされ、運航会社にとって負担です。国は、航空大学校でライセンスを持つ若手の訓練を行う仕組みを令和10年度末を目途に始める方針で、飛行経歴の要件の見直しも検討しています。
出典:国土交通省 ヘリコプター操縦士の養成・確保に関する関係省庁連絡会議 とりまとめ(報道発表)、とりまとめ概要 (2026年10月4日確認)
事業用操縦士が転職で有利にならないケース
ここまで読むと入口の資格として心強く見えますが、有利にならないケースも正直にお伝えします。
(1)取ったばかりで、飛行時間が少ない場合
上の募集例のように、運航会社の募集は500〜1,000時間以上の飛行経験を求めるものが目立ちます。法律上の受験条件(飛行機200時間、回転翼150時間)を満たしただけでは、これらの募集に応募できません。時間の条件がない募集を探すか、経験を積める職場を探す必要があります。中日本航空の飛行機操縦士のように、総飛行時間が足りなくても出身校の推薦があれば応募できる募集もありますが、数は多くありません。
(2)限定が募集の機種に合っていない場合
ヘリコプターの募集では、タービン機の限定が求められています。ピストン機(小型のレシプロエンジン機)の限定だけでは、応募できない募集があります。飛行機でも、AIRDOのように5.7t以上の型式限定と副操縦士の運航経験を求める募集があり、事業用の資格だけでは足りません。
(3)年齢や身体条件が合わない場合
年齢の上限を45歳以下、50歳未満などと決めている会社があります。また、第一種航空身体検査証明が失効していると、操縦する仕事はできません。応募前に有効期限を確認しておきましょう。
とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。資格は入口で、飛行時間と限定を積み上げた人が選べる募集が広がるということです。次の章で、経験別の活かし方を見ていきます。
【経験別】あなたの場合、事業用操縦士は武器になる?
飛行機で時間を積んだ人は、計器飛行と多発限定を足すと応募先が広がる
もっとも応募先が多いのがこのタイプです。中日本航空の飛行機操縦士の募集では、計器飛行証明と陸上単発/多発の限定が条件に並んでいます。AIRDOの副操縦士の募集も、計器飛行証明と型式限定が条件です。今ある事業用に、計器飛行証明や多発の限定を足していくと、応募できる募集が増えます。
ヘリコプターの経験者は、タービン機の経験が決め手になる
運航会社の募集は、陸上単発タービン機または陸上多発タービン機の限定を条件にしています。報道取材、ドクターヘリ、物資輸送、受託運航といった仕事で、タービン機の経験と機長時間が見られます。
自治体の消防防災ヘリの操縦士も選択肢です。神戸市消防局の募集では、事業用(回転翼)、第一種航空身体検査証明、航空無線通信士が応募資格でした。ただし、この募集は現在行われていません。自治体の募集は時期が限られるため、各自治体の採用ページを定期的に確認しましょう。
これから取る人は、取得ルートと費用を先に確かめる
日本でパイロットになる道は、次のとおり国土交通省が案内しています。
- 民間の養成機関(一部の私立大学・航空専門学校・訓練事業会社)で資格を取ってから就職する
- 航空大学校(宮崎・帯広・仙台)で2年間の教育を受けてから就職する
- 一般の大学を卒業して航空会社に入り、会社の訓練(自社養成)で資格を取る
ヘリコプターの民間養成機関の費用は、令和8年の国の資料で約1,300万円〜約2,330万円です。事業用の資格を取る目的を決めてから、どのルートを選ぶかを考えましょう。
出典:国土交通省 操縦士・整備士に関する養成機関について、ヘリコプター操縦士の養成・確保に関する関係省庁連絡会議 とりまとめ概要 (2026年10月4日確認)
事業用操縦士を活かせる仕事と年収の目安
| 仕事 | 主な内容 | 資格の効き方 | 求人記載の例 |
|---|---|---|---|
| 航空会社の副操縦士(飛行機) | B737/B767の副操縦士業務 | ◎ 事業用が応募の前提。型式限定や運航経験も必要 | 基本給31万円程度(35歳を想定。乗務経験等により手当が加わる) |
| 運航会社のヘリコプター操縦士 | ドクターヘリ、報道取材、物資輸送、受託運航 | ◎ 業務内容と直結 | 賞与年2回、ライセンス手当・ヘリ乗員手当あり。月給の金額は記載なし |
| 運航会社の飛行機操縦士 | 医療搬送、報道取材、漁業パトロール、測量 | ◎ 業務内容と直結 | 賞与年2回、ライセンス手当あり。月給の金額は記載なし |
| 自治体の消防防災ヘリ操縦士 | 救助・救急搬送・空中消火 | ◎ 事業用(回転翼)が条件 | 条例にもとづく給料。ヘリコプター搭乗業務手当など |
出典:AIRDO 募集要項、中日本航空 キャリア採用、神戸市 航空従事者(航空機操縦士)選考 (2026年10月4日確認。AIRDOの給与欄には「2024年4月1日更新」と記載されています。給与額を載せている募集は少なく、AIRDO以外は月給の金額を確認できませんでした)
年収の目安は、確認できた募集では金額が出ていないため、この記事では示しません。応募するときは、会社に直接、月給・乗務手当・ライセンス手当の扱いを確認してください。
あわせて取得すると強い資格
計器飛行証明
雲の中や視界が悪い状況でも、計器だけで飛ぶための証明です。中日本航空の飛行機操縦士やAIRDOの副操縦士の募集で、応募条件に入っています。
航空無線通信士
航空機に搭載した無線設備を操作するための国家資格です。ここで見た運航会社・自治体の募集は、いずれも応募条件にしています。
定期運送用操縦士
二人で操縦する航空運送事業の航空機で機長を務めるための資格です。旅客機の機長を目指す人が、事業用の次に取ることになります。受験は21歳以上で、飛行機は総飛行時間1,500時間以上などの飛行経歴が必要です。
飛行機と回転翼のもう一方の資格
飛行機の事業用を持つ人が回転翼の事業用を取る場合(またはその逆)、学科試験のうち航空気象・航空法規・航空通信・空中航法が免除され、航空工学だけを受ければよい扱いになっています。仕事の幅を広げたい人にとって、受験の負担が軽い追加取得です。
出典:航空法 別表、航空法施行規則 第43条・別表第二、技能証明等の既得資格による試験の免除科目について (2026年10月4日確認)
事業用操縦士に合格するには
国土交通省の公開資料で、学科試験を独学で対策する
学科試験は、国土交通省が公開している出題範囲の参考資料(シラバス)、例題集、過去問題と解答で対策できます。シラバスは飛行機用と回転翼航空機用に分かれています。ただし、資料は出題範囲を限定するものではないと書かれているため、出題範囲より広めに学んでおきましょう。
学科試験でつまずきやすいのは次の3点です。
- 航空工学の中身が、飛行機と回転翼で違う
回転翼のシラバスには、ホバリングや前進飛行の空気力学、オートローテーション、ロータブレードの運動などが入っています。飛行機用の参考書だけでは足りません - 5科目それぞれに合格点がある
各科目70点以上が必要です。1科目だけ苦手でも不合格になります。科目合格は最初に全科目を受けた日から1年以内に残りの科目に合格すれば有効なので、期限を管理しましょう - 手続きのミスで受験できなくなる
会場の予約と航空局への申請の両方が必要です。同じ試験期に同じ科目を二重に申請すると不合格になる、という案内もあります
航空法規は、航空法・航空法施行規則を中心に、最低安全高度、飛行計画、機長の権限など、実際の運航にかかわる内容が出ます。空中航法は、地文航法・推測航法・無線航法、飛行計画の作成が出題範囲です。航法計算盤が必要な問題は学科試験では出題しない、と国土交通省が案内しています。
自家用操縦士を持っているなら、通信の科目が免除される
自家用操縦士の技能証明を持っている場合、事業用の学科試験では航空通信が免除されます。ほかの4科目は受験が必要です。
実地試験の前に、飛行経歴をそろえる
実地試験は、学科合格の通知から2年以内に受けます。試験に使う航空機は受験者が用意します。飛行経歴の条件(飛行機200時間・回転翼150時間など)は、実地試験を申請するまでに満たしておく必要があります。飛行訓練を受ける場所と時期は、学科試験より先に決めておきましょう。
事業用操縦士を活かして転職を成功させる進め方
自分の飛行時間と限定に合う募集を探す
運航会社、自治体の消防局、航空会社の採用ページを順に確認しましょう。確認するのは、応募資格にある「限定(タービン機・多発・型式)」「飛行時間(総飛行時間か機長時間か)」「年齢」「必要な証明書(計器飛行証明・航空無線通信士・第一種航空身体検査証明)」です。
募集人数は「若干名」の会社が多く、随時募集の会社もあります。気になる会社は、募集が出ていない時期も採用ページを見に行きましょう。
応募書類で、飛行時間と限定を具体的に書く
募集要項の応募書類には、履歴書・職務経歴書のほかに、航空経歴書(機種ごとの飛行時間を明記)、技能証明書の写し(限定事項の証明書を含む)、航空無線通信士の免許証の写し、航空身体検査証明書の写しなどが並んでいます。経歴書では、機種別の総飛行時間と機長時間、計器飛行の時間、夜間の時間を分けて書くと、会社が応募条件と照らし合わせやすくなります。
転職エージェントを味方につける
今回確認した操縦士の募集は、いずれも会社の採用ページから直接応募する形でした。ただし、運航管理や整備管理など操縦士以外の職種に広げたい人、年収や勤務地の条件を整理したい人は、転職エージェントに相談する価値があります。
転職エージェントを使うメリットは?
求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。
年収や勤務条件を相談できる
募集要項に給与の金額が載っていない会社が多い職種です。月給、乗務手当、ライセンス手当、全国転勤の有無などを、応募者が自分から切り出すのは気が引けます。エージェントは企業との間に入り、条件のすり合わせを手伝ってくれます。
希望に合う求人を紹介してもらえる
「飛ぶ仕事を続けたい」「転勤のない職場がいい」「運航管理や航空関連の仕事も見たい」と希望を伝えるだけで、条件に合う求人を紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあります。
入社前に職場の実情を確認できる
乗務のシフト、宿直の有無、飛行時間を積める環境かどうか、年齢条件の運用。募集要項からは分かりにくい点を、応募前に確認してもらえます。
書類や面接の対策をしてもらえる
航空経歴書や職務経歴書の書き方、面接で飛行経験をどう説明するかを、担当者がアドバイスしてくれます。
面接の日程調整を任せられる
面接の日程調整や企業とのやり取りを代わりにしてくれるので、乗務を続けながらでも転職活動を進められます。
さらに、これらはすべて無料で利用できます(JACリクルートメントとリクルートエージェントの公式サイトで、登録・利用が無料と案内されています)。
こんな人は、まず相談だけでもしてみてください
- 募集要項に給与の金額がなく、自分の条件で応募してよいか判断できない
- 飛行時間が少なく、どの募集から応募すればよいか分からない
- 操縦以外の航空関連の仕事も選択肢に入れたい
- 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい
1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの飛行経験と資格で応募できる求人にどんなものがあるか質問し、答えてもらうだけでも価値があります。
資格を活かせる求人の条件は、会社ごとに細かく違います。条件のすり合わせや応募書類の整え方まで一緒に考えてもらいたい人は、航空業界の求人情報も扱う転職エージェントに相談してみましょう。
どの転職エージェントが自分に合う?
| 転職エージェント | タイプ | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| JAC Recruitment(公式サイト・新しいタブで開きます) | ハイクラス・専門職型 | 航空業界の転職情報ページを公開。コンサルタントが書類応募の手配や面接日程の調整、条件交渉を行う | 経験を積んだ人で、運航管理・整備管理など航空関連の専門職や管理職も視野に入れたい人 |
| リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) | 総合型 | 公開求人・非公開求人が多く、幅広い業界から比較できる | 業界や職種を決めきれていない人、地上の仕事も選択肢に入れたい人 |
どちらも、今回確認した操縦士の募集は運航会社の採用ページに載っていました。エージェントは、操縦士以外の職種に広げる場合や、条件の整理に使うと効果的です。ハイクラス型と総合型を1社ずつ、2社に登録して紹介される求人を比べると、自分の市場価値がより正確に分かります。
よくある質問
- 事業用操縦士だけで、旅客機の機長になれますか?
なれません。二人で操縦する航空運送事業の航空機の機長は、定期運送用操縦士の業務範囲です。事業用操縦士は、航空会社では副操縦士として操縦できます。
- 飛行機と回転翼は、どちらも取れますか?
別々の技能証明なので、それぞれ取得が必要です。ただし、片方を持っている人が、もう一方を取る場合は、学科試験のうち航空気象・航空法規・航空通信・空中航法が免除され、航空工学だけを受ければよい扱いです。実地試験と飛行経歴は、それぞれ別に必要です。
- 年齢に制限はありますか?
受験できるのは18歳以上です。上限については、今回確認した資料に記載はありませんでした。ただし、求人では45歳以下、50歳未満、50歳位までなど、年齢の上限を置く会社があります。応募先の条件を確認しましょう。
- 独学で取れますか?
学科試験は、国土交通省が公開しているシラバス・例題集・過去問で独学の対策ができます。一方で、実地試験の前に飛行機200時間(回転翼は150時間)などの飛行経歴が必要です。これは飛行訓練を受けないと満たせないため、取得全体を独学だけで終えることはできません。
- 合格率はどのくらいですか?
国土交通省の学科試験のページで確認できたのは、過去問と解答までで、合格率は載っていませんでした。そのため、この記事では数字を示していません。各科目は70点以上が合格の基準です。
まとめ:あなたの次の一手
事業用操縦士は、飛行機やヘリコプターで報酬を得て飛ぶ仕事に就くための入口の資格です。一方で、運航会社の募集は飛行時間・限定・年齢・身体検査を重ねて求めるため、資格だけでは応募先が限られます。
あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。取得済みなら募集要項の条件と自分の飛行時間を照らし合わせ、これから取る人は、取得ルートと費用を先に確かめましょう。
参考