1級建築施工管理技士は転職に有利?求人での評価と令和6年度からの受検資格

「1級建築施工管理技士を取れば、今より条件のいい会社に移れるのかな」 「受検資格が変わったと聞いたけれど、第二次検定はいつ受けられるんだろう」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、1級建築施工管理技士は、建築の施工管理を続ける人にとって、転職で最も効く資格の一つです。建築一式工事の現場に置く監理技術者になれる国家資格で、求人でも「1級必須」と書かれたものが多く、提示される年収の水準も上がります。

一方で、資格だけで現場経験がない場合は、すぐに監理技術者として迎えられるわけではありません。評価されるのは「どんな建物を、どの立場で任されてきたか」とセットになったときです。

この記事では、建設業振興基金の受検の手引・実施結果と、実際の求人をもとに、1級建築施工管理技士が転職でどう評価されるのかを解説します。

結論:1級建築施工管理技士は転職に有利?

結論は「建築の施工管理を続けるなら強く有利。ただし評価の中身は現場経験で決まる」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
建築の現場経験あり
+
1級(第二次検定まで合格)
◎ 監理技術者になれる人材として、1級を条件にした求人に応募できる 担当した建物の構造・規模と立場を整理して求人を比べる
建築の現場経験あり
+
技士補(第一次検定のみ合格)
○ 技士補を優遇する求人があり、第二次検定までの道筋を示せる 第二次検定の受検資格を満たす時期を確認する
建築の現場経験あり
+
資格なし/2級のみ
○ 経験は評価されるが、1級を条件にした求人には応募しにくい 第一次検定から受けて技士補を取る
未経験
+
技士補を取得・取得予定
△ 学ぶ意欲と基礎知識の証明にはなるが、決め手ではない 未経験可・資格取得支援のある施工管理の求人から経験を積む

令和6年度から、第一次検定は19歳以上なら学歴や実務経験に関係なく受けられるようになりました。一方、1級建築施工管理技士を名乗るには第二次検定の合格が必要で、こちらは合格後の実務経験などが条件です。詳しくは次の章で解説します。

1級建築施工管理技士とは?1分でわかる基本情報

1級建築施工管理技士は、建設業法に基づく技術検定(1級建築施工管理技術検定)の第二次検定に合格した人が名乗れる国家資格です。試験は、国土交通大臣の指定を受けた一般財団法人建設業振興基金(試験研修本部)が実施しています。

第一次検定に合格すると「1級建築施工管理技士補」、第二次検定に合格すると「1級建築施工管理技士」を名乗れます。

令和8年度(2026年度)試験の概要

項目 内容
実施機関 一般財団法人建設業振興基金 試験研修本部(国土交通大臣指定試験機関)
資格の種類 国家資格(建設業法に基づく技術検定)
申込受付期間 第一次・第二次検定、第二次検定のみ:2026年2月13日(金)〜2月27日(金)
第一次検定のみ:2026年2月13日(金)〜4月7日(火)(インターネット申請)
第一次検定 2026年7月19日(日)/午前10:15〜12:45・午後14:15〜16:15/マークシート
第一次検定の合格発表 2026年8月25日(火)
第二次検定 2026年10月18日(日)13:00〜16:00/記述式と五肢択一(マークシート)
第二次検定の合格発表 2027年1月8日(金)
受検手数料 第一次検定12,300円、第二次検定12,300円(いずれも非課税)
試験地 札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄の10地区
合格基準 第一次検定:全体の得点60%以上、かつ施工管理法(応用能力)の得点60%以上
第二次検定:得点60%以上

出典:建設業振興基金 1級 建築施工管理技術検定のご案内、令和8年度 受検の手引(1級) (2026年10月3日確認)

令和9年度(2027年度)の申込期間・試験日は、2026年10月3日時点で公式サイトに掲載がありません。受検前に必ず建設業振興基金の最新の案内を確認してください。

第一次検定は19歳以上なら誰でも受けられる

令和6年度から受検資格が見直され、第一次検定は学歴や実務経験に関係なく、受検する年度に満19歳以上になる人が受けられるようになりました。令和8年度なら、平成20年4月1日以前に生まれた人が対象です。

建設会社に入ったばかりの人や、建築以外の学科を出た人でも、まず第一次検定に合格して技士補になる道が開かれています。

注意したいのが申請の区分です。第一次検定のみで申請して合格しても、同じ年度の第二次検定は受けられません。 「第一次・第二次検定」の申請は2月末までで、「第一次検定のみ」の申請(4月上旬まで)とは別になっています。すでに第二次検定の受検資格を満たしている人が、第一次検定のみで申し込むと、その年度の第二次検定には進めません。申請したあとに区分を変えることもできないので、自分の条件を確かめてから申し込みましょう。

第二次検定は「合格後の実務経験」などで受検資格が決まる

第二次検定の受検資格は、以前は「学歴ごとに定められた、卒業後の実務経験」でした。令和6年度からの新受検資格では、学歴に関係なく、第一次検定などに合格した後の実務経験で判断します。

新受検資格の区分 必要な実務経験
1級第一次検定の合格者 合格後5年以上/または合格後、特定実務経験1年以上を含む3年以上/または合格後、監理技術者補佐としての実務経験1年以上
1級第一次検定の合格者で、2級第二次検定の合格者でもある人 2級第二次検定の合格後5年以上/または合格後、特定実務経験1年以上を含む3年以上
1級第一次検定を受検予定で、2級第二次検定の合格者 同上(第一次・第二次を同じ年度に申請できる)
一級建築士試験の合格者 合格後5年以上/または合格後、特定実務経験1年以上を含む3年以上

ここでいう特定実務経験とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事で、監理技術者または主任技術者の指導のもとで行った(または自分がその立場で行った)施工管理の経験です。監理技術者補佐は、1級建築施工管理技士補の資格を持ち、主任技術者の要件も満たす人が、専任の監理技術者が必要な工事で、監理技術者の職務を専任で補佐した経験をいい、単なる補助は含まれません。2級の合格は、建築・躯体・仕上げのどの種別でも、旧制度の2級実地試験の合格でも対象になります。

新受検資格の申請はインターネットのみです。公式サイトの「実務経験ファイル作成ツール」で、担当した工事の内容と従事期間を入力し、証明者のチェックを受けたファイルを、申請期間中にマイページへアップロードします。ツールは常時使えるので、工事の記録は早めに入れておきましょう。

出典:1級 建築施工管理技術検定のご案内(新受検資格)、新受検資格での受検申請について

令和10年度までは旧受検資格でも受けられる

制度改正の経過措置として、令和10年度までは、第二次検定を旧受検資格でも受検できます。旧受検資格は、1級の第一次検定または一級建築士試験に合格したうえで、学歴ごとの実務経験年数を満たすものです。どの区分でも、指導監督的実務経験(現場で施工の技術面を指導・監督した経験)を1年以上含める必要があります。

学歴 指定学科 指定学科以外
大学、専門学校の高度専門士 卒業後3年以上 卒業後4年6か月以上
短期大学、高等専門学校(5年制)、専門学校の専門士 卒業後5年以上 卒業後7年6か月以上
高等学校、中等教育学校、専門学校の専門課程 卒業後10年以上 卒業後11年6か月以上
その他(最終学歴は問わない) 通算15年以上 通算15年以上

このほか、二級建築士試験の合格者と、2級建築施工管理技術検定の第二次検定(旧実地試験)の合格者には、合格後5年以上という区分もあります。年数の数え方の細かい決まりは、受検の手引(旧受検資格用)で確認してください。

たとえば、技士補になる前から建築の現場で長く働いてきた人は、旧受検資格のほうが早く第二次検定を受けられる場合があります。新旧のどちらで申し込むかは、申請したあとに変えられません。旧受検資格は令和11年度以降、新規の申請に使えなくなるため、早めに自分の年数を数えておきましょう。

出典:1級 建築施工管理技術検定のご案内(旧受検資格)、令和8年度 受検の手引(1級)

合格率は第一次検定が約5割弱、第二次検定が約4割

年度 第一次検定(受検者数/合格率) 第二次検定(受検者数/合格率)
令和7年度(2025年度) 41,812人/48.5% 18,160人/39.0%
令和8年度(2026年度) 42,826人/46.7% 2027年1月8日発表予定

出典:令和7年度 1級建築施工管理技術検定 結果表(令和8年1月25日に実施した臨時試験の結果を含む)、令和8年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 実施結果(令和8年度の合格率は、同資料の受検者42,826人・合格者19,993人から計算)

第一次検定に受かっても、第二次検定では受検者の6割が不合格になっています。第一次検定と第二次検定の両方を突破した人だけが名乗れることが、求人で評価される理由の一つです。

転職で1級建築施工管理技士が評価される理由

監理技術者として現場に置ける人材だから

建設業法では、発注者から直接請け負った工事で、下請に出す契約の合計が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる場合、現場に主任技術者の代わりに監理技術者を置かなければなりません。1級建築施工管理技士は、建築一式工事をはじめ、多くの工種で監理技術者になれる国家資格の一つです。2級建築施工管理技士は主任技術者にはなれますが、監理技術者にはなれません。

さらに、請負金額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上で、公共性のある施設や多数の人が使う建物などの重要な工事では、技術者を現場ごとに専任で置く必要があります。専任の監理技術者として配置されるには、1級に合格したあと、監理技術者資格者証の交付を受け、監理技術者講習を修了していなければなりません。資格者証の有効期間は交付から5年で、更新も必要です。

会社から見ると、1級を持つ技術者が何人いるかで、請けられる建物の数と規模が決まります。公共工事の入札で使う経営事項審査でも、技術者は資格ごとに点数が付き、1級の技術者は5点(資格者証の交付を受けていれば6点)、2級の技術者は2点です。1級建築施工管理技士は、会社の受注力に直結する資格なので、求人で条件や手当の対象になりやすいのです。

出典:国土交通省 よくある問合せ(技術者制度)、建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧、建設業技術者センター 監理技術者について、国土交通省 経営事項審査の審査基準の改正について(資料3)

技士補でも、監理技術者の兼務を支える役割がある

第一次検定の合格者(技士補)は、監理技術者になれるわけではありません。ただ、主任技術者の資格を持つ人が1級の第一次検定に合格していれば、監理技術者を補佐する者として専任で置けます。補佐を専任で置いた場合、1人の監理技術者が2つの工事現場を兼務できる仕組みです。

会社にとっては、監理技術者の人数が限られていても、技士補がいれば現場を回しやすくなります。技士補を優遇する求人があるのは、このためです。

出典:国土交通省 「監理技術者の行うべき職務を補佐する者」の要件

「1級必須」の求人は提示年収が高い

施工管理の求人サイトを運営する株式会社レクリーが、自社サイトに掲載中の建築施工管理の正社員求人2,966件(2026年9月1日時点)を集計した調査では、次の結果でした。

  • 1級建築施工管理技士が必須の求人は943件(31.8%)
  • 提示年収(求人票の下限)の中央値は、1級必須が500万円、2級必須(1級は不要)が450万円、必須資格なしが420万円
  • 下限650万円以上の求人の割合は、1級必須が15.6%、必須資格なしが2.5%

出典:1級建築施工管理技士が必須の求人は中央値500万円、必須資格なしより80万円高い(株式会社レクリー/PR TIMES、2026年9月28日)

これは1社のサイトに載った求人の「提示条件」で、資格保有者の実際の年収ではありません。それでも、1級を条件にしている会社ほど、高い水準の条件を出している傾向は読み取れます。

資格手当の対象になる

1級建築施工管理技士を資格手当の対象にしている会社は多く、金額は会社ごとに違います。実際の募集要項では、次のような記載がありました。

  • 杉本組(愛知県名古屋市):中途採用の施工管理の募集で、1級施工管理技士が月5万円、1級施工管理技士補が月2.5万円(1級建築士は月6万円、2級建築士は月3万円)
  • 東建コーポレーション:中途採用の建築職(施工管理)の募集で、一級建築施工管理技士が月25,000円〜35,000円(二級建築施工管理技士は月2,000円)。複数の資格を持っていても、もっとも高い手当を1つだけ支給
  • NAKAMURA(東京都品川区):マンション大規模修繕工事の施工管理の募集で、施工管理技士1級の人に月20,000円

月2万円の手当でも年24万円です。受検手数料(第一次・第二次で計24,600円)は、手当が付いた1年目で十分に回収できます。杉本組のように技士補にも手当を出す会社があれば、第一次検定に合格した時点から回収が始まります。

1級建築施工管理技士が転職で有利にならないケース

ここまで読むと強い資格に見えますが、有利にならないケースも正直にお伝えします。

(1)建築・建設と関係のない仕事に移る場合

評価されるのは、ゼネコン、地場の建設会社、ハウスメーカー、リフォーム会社、専門工事会社など、建築工事に関わる仕事です。業界の外では、資格名を見ても仕事の中身が伝わりにくく、資格手当の対象にもなりません。

(2)資格はあっても現場経験が浅い場合

資格を持っていても、経験が足りないと応募できない求人があります。ミサワリフォームの技術職(リフォームの施工管理)の募集では、必須条件が「建築または設備の施工管理経験」で、1級建築施工管理技士は「尚可」(あれば望ましい)です。NAKAMURAのマンション大規模修繕の募集も、必須は建築施工管理の経験で、1級は歓迎条件です。杉本組の年収例は、1級施工管理技士の新築現場代理人(27歳565万円、37歳700万円、43歳740万円)として載っています。資格は評価を上乗せするもので、経験の代わりにはなりません。

(3)技士補のまま止まっている場合

第一次検定だけの合格者は「1級建築施工管理技士補」で、単独で監理技術者にはなれません。手当も1級の半額とする会社があります(杉本組は1級5万円に対して技士補2.5万円)。技士補を「1級を持っている」と書くと、面接で食い違いが出ます。履歴書には正式な名称で書きましょう。

(4)今の会社で手当や役割が変わらない場合

東建コーポレーションの募集のように、複数の資格を持っていても手当は最高額の1つだけという会社があります。今の会社に1級を持つ人が多い場合は、取得しても手当や役割がほとんど変わらないという声もあります。その場合は、1級の技術者を必要としている会社へ移るのも選択肢です。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。現場経験とセットで見せれば、応募できる求人の幅と提示される条件が大きく変わる資格だということです。次の章で、タイプ別の活かし方を見ていきます。

【タイプ別】あなたの場合、1級建築施工管理技士は武器になる?

建築の現場経験者は、任される建物の規模が広がる

もっとも有利になるのがこのタイプです。RC造・S造・SRC造の建物やマンションの現場で施工管理をしてきた人が1級を取ると、監理技術者として大きな建物の現場を任せられる人材として見られます。

評価されやすいポイントは次の通りです。

  • 下請契約の合計が大きい元請の工事で、監理技術者になれる
  • 公共工事の入札で、会社の評価につながる技術者として数えられる
  • 資格手当の対象になる

1級を持つ技術者がどれくらい足りていないか、入社後にどの構造・規模の建物を任されるかは、求人票だけでは見分けにくいものです。建築・施工管理に詳しい転職エージェントなら、手当の額や担当する建物の種類、1人で持つ現場の数まで確認してから応募できます。

2級建築施工管理技士を持つ人は、1級で応募できる求人が増える

2級は主任技術者として現場を担当できる資格ですが、監理技術者が必要な工事は任せられません。2級から1級に上がると、応募できる求人と任される建物の規模が一段広がります。

2級第二次検定に合格してからの実務経験が条件を満たしていれば、1級の第一次検定と第二次検定を同じ年度に申請できる区分があります。まずは2級の合格年度と、その後に担当した工事の請負金額・立場を書き出し、新受検資格のどの区分で申し込めるかを確認しましょう。旧受検資格のほうが早い場合もあるので、前の章の表と見比べてから選びます。

若手・未経験の人は、技士補を取って経験を積む土台にする

令和6年度からは、19歳以上なら第一次検定を受けて技士補になれます。杉本組の募集のように技士補を優遇し、手当まで付ける求人もあり、技士補は「1級に向けて勉強を始めている人」という証明になります。東建コーポレーションの建築職の募集は「未経験者歓迎」で、1級建築施工管理技士の保有者を歓迎し、入社後の手当に加えて、入社支度金(一級建築施工管理技士は5万円を6か月間)も用意しています。

ただし、技士補だけで経験者と同じ評価を得るのは難しく、第二次検定に進むには合格後の実務経験が欠かせません。未経験から入る場合は、資格取得費を補助してくれる会社や、若手を現場で育てる体制がある会社を選ぶと、第二次検定までの道のりが短くなります。

1級建築施工管理技士を活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 求人の記載例
建設会社の施工管理(RC・S・SRC造) 新築建物の工程・品質・安全・原価の管理、現場代理人 ◎ 監理技術者・現場代理人として優遇されやすい 杉本組:1級優遇、年収600万〜1,000万円、1級手当月5万円
ハウスメーカー系の施工管理 賃貸建物の品質・工程の管理、営業の受注支援 ○ 保有者は歓迎され、手当の対象 東建コーポレーション:月給204,400円以上+資格手当、初年度平均年収380万〜610万円
マンション大規模修繕の施工管理 屋上防水・外壁改修・鉄部塗装などの現場管理 ○ 歓迎条件で、手当の対象 NAKAMURA:予定年収420万〜800万円、1級手当月2万円
リフォームの施工管理 住宅・オフィスのリフォーム工事の工程・原価・品質管理、顧客への説明 △ 経験が必須で、1級は尚可 ミサワリフォーム:想定年収370万〜590万円、月給214,000〜370,000円

出典:各社の採用ページ(2026年10月3日確認)。年収・月給は会社・地域・経験・残業代の扱いで大きく変わります。

杉本組は愛知県内の現場でSRC造・RC造・S造の施工監理を担当し、年間休日は128日です。東建コーポレーションは賃貸建物の施工管理に加えて配置図面の作成・積算なども担当し、総合職は全国転勤の可能性があります。NAKAMURAは首都圏のマンションが担当で、月給は固定残業45時間分を含み、残業は月平均40時間程度です。ミサワリフォームは東京都・神奈川県の営業所で、転居を伴う転勤はありません。

あわせて取得すると強い資格

一級建築士

建築士法に基づく国家資格で、設計と工事監理を担います。施工管理技士が「建物をつくる工程を管理する資格」なら、一級建築士は「建物を設計し、図面どおりにできているかを確認する資格」です。杉本組と東建コーポレーションでは、どちらも手当の対象でした(金額は前の章のとおり)。両方を持つと、現場と設計の両面がわかる技術者として、施工の管理にも設計監理にも関われます。また、一級建築士試験の合格者は、合格後の実務経験で第二次検定を受けられる区分があります。

1級電気工事施工管理技士・1級管工事施工管理技士

建築の現場では、電気や空調・給排水の設備工事も同時に進みます。ミサワリフォームの募集は、必須条件を「建築または設備の施工管理経験」としていて、建築と設備の両方をわかる人は現場の調整役を担えます。設備の施工管理技士を持っていると、建築の工程に設備工事の段取りを組み込んだり、設備会社と調整したりする場面で説明に説得力が出ます。

1級建築施工管理技士に合格するための勉強法

第一次検定は「施工管理法(応用能力)」の基準点に注意する

第一次検定は、令和8年度は72問が出題され、60問を選んで解答する形式でした。午前は44問出題・36問解答(試験時間150分)、午後は28問出題・24問解答(試験時間120分)で、問題はマークシートの四肢択一式です。ただし、施工管理法の応用能力問題(No.51〜60の10問)だけは五肢択一で、全問に解答します。選択問題は、指定の数より多く解答すると減点されます。

合格基準は、全体の得点60%以上(60問のうち36問以上の正解)と、施工管理法(応用能力)の得点60%以上(10問のうち6問以上の正解)の両方です。

独学でつまずきやすいのは次の2点です。

  • 数値と条件が多い
    足場の壁つなぎの間隔、コンクリートの打込みまでの時間、建設リサイクル法の対象になる工事の規模など、数値や条件を問う問題が並びます。文章の数値や条件を入れ替えても、正しいか間違っているかを即座に判断できるかが勝負です
  • 応用能力の基準点で落ちる
    全体で36問を超えても、応用能力が5問以下なら不合格です。工程表の読み方や品質管理、安全管理の問題は、過去問で解き方を固めておきましょう

建設業振興基金は、試験問題と正答番号を試験日の翌営業日から1年間、ホームページで公表しています。まずは直近の問題を解いて、自分の弱い分野を見つけるのが近道です。

数値や条件の確認には、第一次検定の論点を○×で判断する問題集が向いています。1級建築施工管理技士 第一次検定 出るとこだけ○×300問(noteのページ)は、足場やコンクリートなど数値が並ぶところを、1問ずつ○か×かで確認できます。そのうえで、本番と同じ72問出題・60問解答の形で時間を計って解きたいときは、1級 第一次検定 実戦模試3回分(noteのページ)で、選択問題の選び方と応用能力の6問の取りこぼしがないかを確かめられます。

第二次検定は「記述の書き方」と「五肢択一」を分けて仕上げる

第二次検定の試験時間は13時から16時の180分です。令和7年度の問題は全6問題で、問題1〜4が記述式、問題5・6が五肢択一式でした。

  • 問題1:与えられた事務所ビル新築工事の工事概要をもとに、自分の経験を踏まえて、品質管理上特に重点を置く項目を3つ挙げ、工種名・理由・実施する内容を書く
  • 問題2:仮設ゴンドラ、起伏式タワークレーン、枠組足場を用いた棚足場について、設置を計画するときに検討すべき事項とその理由を、それぞれ2つ書く
  • 問題3:鉄筋コンクリート造の基準階の躯体工事の工程表を読み、作業内容と総所要日数、最早・最遅開始時期、フロートを答える
  • 問題4:場所打ちコンクリート杭、コールドジョイント、耐火被覆、解体工事について、施工上の留意事項を2つずつ書く
  • 問題5・6:施工技術と法規の空欄に入る語句や数値を、五肢から選ぶ

記述式は、挙げる数や書く中身が問題文で細かく指定され、「〜に関する記述は除く」「すべて異なる内容を書く」といった条件も付きます。問題文の条件を読み落とさずに答えることが、点を落とさないための前提です。また、建設業振興基金は第二次検定の問題を公表していますが、記述式の設問の正答は公表していません。合格基準は得点の60%以上です。記述で書き切れなかった問題があっても、五肢択一の問題5・6で点を重ねておけば、60%に近づけます。

記述式の練習は、自分で答案を書いて解答例と見比べる方法が向いています。1級建築施工管理技士 第二次検定 出るとこだけ記述式予想30題(noteのページ)は、品質管理・仮設計画・工程管理・施工の4分野を、管理する項目と理由・確認方法まで書く形で練習できます。五肢択一は、1級 第二次検定 実戦模試3回分(noteのページ)で、問題5・6の形式の問題を3回分解けます。収録は問題5・6の五肢択一だけで、記述式の問題は含まれません。

1級建築施工管理技士を活かして転職を成功させる進め方

資格が評価される求人を探す

求人検索では「1級建築施工管理技士」だけでなく、「監理技術者」「現場代理人」「施工管理 RC造」「大規模修繕 施工管理」などの言葉でも探してみましょう。「1級必須」の求人と「1級優遇」「技士補可」の求人では、任される立場がまったく違います。求人票の仕事内容に、監理技術者として配置するのか、補佐から始めるのかが書かれているかを確認します。

職務経歴書で資格と経験をつなげる

「1級建築施工管理技士 取得」と書くだけでは伝わりません。担当した建物ごとに、構造(RC・S・SRC)・規模(階数・延べ面積)・工期・自分の立場(監理技術者、現場代理人、担当技術者)・管理した内容を書き出しましょう。「地上10階建てのRC造マンションで現場代理人として、下請8社の工程調整とコンクリートの品質管理を担当した」のように書くと、採用側はどの規模の現場を任せられるかを判断できます。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを1人で進めるのは、現場を抱えながらだとかなり大変です。そして何より、1級建築施工管理技士を持っている人ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由はシンプルで、1級の価値は「どの構造・規模の建物を任せられるか」で決まり、それは求人票だけでは比べられないからです。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

年収や資格手当の条件を相談できる

「資格手当はいくらか」「監理技術者として配置されたら手当は変わるか」と、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントは企業との間に入り、あなたの代わりに条件を交渉してくれます。

「1級を持ち、RC造の建物で現場代理人としてまとめた経験がある」という強みを、企業が評価しやすい形で伝えてくれるので、同じ経歴でも提示される年収が変わることがあります。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「新築のRC造に関わりたい」「転勤のない地域の会社がいい」「休日をきちんと取りたい」。希望を伝えるだけで、条件に合う求人を選んで紹介してくれます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあり、自分で探すだけでは出会えない選択肢が増えます。

入社前に職場の実情を確認できる

入社後すぐに監理技術者として現場を持つのか、1人で何現場を担当するのか、残業や休日出勤はどれくらいか。入社してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に確認できます。

書類や面接の対策をしてもらえる

担当した建物を職務経歴書にどう書けば評価されるか、面接で施工管理の実績をどう伝えればいいかを、建設業界を知る担当者がアドバイスしてくれます。

応募後の企業とのやり取りを任せられる

応募したあとの企業とのやり取りや、内定後の入社日の調整などを、担当者に任せられます。現場を続けながらでも、転職活動の手間を減らせます。

さらに、これらはすべて無料です。エージェントは採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みなので、求職者がお金を払うことはありません。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • 1級を取ったのに、今の会社では手当も役割も変わらない
  • 担当現場が多すぎて、休日が取れない
  • 大きな建物や、別の構造の現場に関わりたい
  • 転勤や長期出張を減らしたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と1級の資格なら、どれくらいの年収の求人があるのか質問し、答えてもらうだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
施工管理求人.com(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(施工管理) 建築・土木・電気・管工事の施工管理求人を扱う、建設業界専門の転職エージェント 建築の施工管理を続けながら条件を上げたい人
建設転職ナビ(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(建設・不動産) 建設・不動産業界に特化し、建築施工管理のほか設計などの求人も扱う 施工会社のほか、設計や不動産側の仕事も比べたい人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 非公開求人を含む幅広い求人から紹介 建設業界以外の選択肢も含めて比べたい人

迷ったら、施工管理に特化した1社と総合型1社の、2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の市場価値がより正確にわかります。

よくある質問

1級建築施工管理技士は意味ない資格ですか?

建築の施工管理を続ける人にとっては、監理技術者になれる国家資格として、条件や資格手当の対象になることが多い資格です。建築と関係のない仕事へ移る場合は評価されにくく、現場での経験とセットで見せることで価値が出ます。

実務経験がなくても受検できますか?

令和6年度から、第一次検定は19歳以上なら実務経験がなくても受検できます。合格すると1級建築施工管理技士補を名乗れます。1級建築施工管理技士になるための第二次検定は、第一次検定などの合格後の実務経験が必要です。

2級を持っていなくても1級を受けられますか?

受けられます。1級の第一次検定に合格し、その後に所定の実務経験(5年以上、特定実務経験1年以上を含む3年以上、または監理技術者補佐として1年以上)を積めば、第二次検定を受検できます。令和10年度までは、学歴ごとの実務経験で判断する旧受検資格を選ぶこともできます。

資格手当はいくらくらいですか?

会社により大きく異なります。募集要項では、1級施工管理技士に月5万円(技士補は月2.5万円)、一級建築施工管理技士に月25,000円〜35,000円、施工管理技士1級に月20,000円といった記載がありました。複数の資格を持っていても最高額の手当だけを支給する会社もあるため、応募前に手当の名前と金額を確認しましょう。

一級建築士と1級建築施工管理技士は、どちらを優先すべきですか?

設計や工事監理に進みたいなら一級建築士、現場で施工を管理したいなら1級建築施工管理技士が中心になります。どちらも手当の対象にする会社が多く、手当額は一級建築士のほうが高い例が見られます(杉本組は月6万円と月5万円、東建コーポレーションは月30,000円〜50,000円と月25,000円〜35,000円)。一級建築士試験の合格者は、合格後の実務経験で第二次検定を受けられる区分もあります。

第二次検定は独学で合格できますか?

独学でも合格は可能ですが、記述式は挙げる数と書く中身が指定されるため、事前に管理する項目・理由・確認方法を整理しておく必要があります。記述式の設問は正答が公表されないので、自分の答案を解答例と見比べる練習が役立ちます。直前ノートもご活用ください。

1級建築施工管理技士 第二次検定 記述式予想30題(noteのページ)

まとめ:あなたの次の一手

1級建築施工管理技士は、建築の施工管理を続ける人にとって、監理技術者として大きな建物の現場を任せられることを示す国家資格です。1級必須の求人は提示年収の水準も高く、資格手当の対象にもなります。一方で、評価の中身は「どの構造・規模の建物を、どの立場で任されてきたか」で決まります。

令和6年度からは、19歳以上なら誰でも第一次検定から挑戦でき、第二次検定は合格後の実務経験などで受けられるようになりました。あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。

参考

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