海上特殊無線技士は転職に有利?第一級を中心に、船員・海運の求人での評価と第二級との違い

「第一級海上特殊無線技士を取れば、船の仕事への転職で有利になるのかな」 「第二級や第三級もあるけれど、第一級まで取る意味はあるのだろうか」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、第一級海上特殊無線技士は、国際航海の船に乗る航海士など甲板部の職員にとって、乗船するための最低ラインになる資格です。求人でも「1海特」や「第1級海上特殊無線技士」を必須にしている募集があります。

一方で、この資格だけで採用が決まるわけではありません。求人の主役は航海士の免許である海技士(航海)で、国内を走る船の募集では「第二級海上特殊無線技士(以上)」と書かれたものが目立ちます。第一級は第二級の操作範囲を含むのでどちらの募集にも応募できますが、国内の募集で第一級だと給与が上がるとは、確認できた求人からは読み取れませんでした。

この記事では、日本無線協会と国土交通省の公表資料、そして実際の求人の記載をもとに、第一級海上特殊無線技士が転職でどう使われるのかを解説します。

結論:海上特殊無線技士は転職に有利?

結論は「国際航海の船の甲板部職員なら必須の条件。国内の船や船と関係のない仕事では、決め手にならない」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
国際航海の船の甲板部職員(航海士など)を目指す
+
資格あり
◎ 乗船に必要な無線の資格を満たせる 海技士(航海)の級と乗船経験が、募集の条件に合うか確認する
国内を走る船の航海士・甲板部員を目指す
+
資格あり
○ 「第二級以上」と書く募集の条件を、上位の資格で満たせる 乗船サイクル・船の種類・給与で会社を比べる
船の仕事を目指す
+
資格なし
○ 取れば応募できる募集が増える 乗る船が国際航海かどうかを確かめ、第一級か第二級かを選ぶ
陸上の仕事・船や港と関係のない業界へ転職する × ほとんど評価の対象にならない 志望業界で評価される資格を探す

受験に年齢・学歴・経験の条件はなく、誰でも受けられる資格です。ただし、船に乗る仕事では海技士(航海)の免許のほうが重く見られるので、次の章以降で具体的に見ていきます。

海上特殊無線技士とは?1分でわかる基本情報

海上特殊無線技士は、電波法に基づく国家資格「無線従事者」のひとつです。電波法では、無線設備の操作は原則として無線従事者の資格を持つ人でなければ行えないと決められています(総務省 関東総合通信局の説明)。無線従事者の資格は全部で23種類あり、試験は総務大臣から指定を受けた公益財団法人日本無線協会が実施します。

第一級・第二級・第三級・レーダー級の違いは、英語と操作できる範囲

海上特殊無線技士は、第一級・第二級・第三級・レーダー級の4つに分かれます。日本無線協会の案内を、試験と操作の範囲に絞って並べると次のとおりです。

資格 試験の方式 試験科目 英語 操作できる主なもの(協会の案内) 協会が挙げる主な職場
第一級 会場での筆記・年3回 無線工学・法規・英語・電気通信術 あり 船舶の無線電話とデジタル選択呼出装置(国際VHFを含む)、一部の船舶地球局、レーダー。国際通信も可(一部を除く) 漁船(インマルサット装備のもの)、船舶(国際VHF)など
第二級 CBT方式・年間を通じて 無線工学・法規 なし 海岸局・船舶局の一定の出力以下の無線設備(国内通信のみ)、レーダー 大型ヨット、小型の船舶・漁船、遊漁船など
第三級 CBT方式・年間を通じて 無線工学・法規 なし 船舶の25,010kHz以上の電波を使う5W以下の無線電話(国内通信のみ)、5kW以下のレーダー プレジャーボート、小型漁船など
レーダー級 会場での筆記・年3回 無線工学・法規 なし レーダーのみ 主として大型船舶の船長・航海士が取得してレーダーを操作

出典:日本無線協会 海上無線従事者、活躍する分野、令和8年度 特殊無線技士国家試験案内、表1 試験問題数と試験時間、操作等の範囲(表13) (2026年10月3日確認)

ここで押さえておきたいのは、英語の試験があるのは第一級だけという点です。第二級以下は英語がなく、国際通信にも使えません。第一級は、第二級が操作できるものも含めて操作できます。

ただし、第一級でも操作できる船には、船の種類・航行区域・総トン数による条件があります。詳しくは協会の操作範囲の表(表13)で確認してください。

令和8年度の第一級海上特殊無線技士の試験概要

項目 内容
主催 公益財団法人日本無線協会
受験資格 なし(協会は無線従事者資格のすべてで受験資格を問わないと案内)
試験日 令和8年6月9日(火)・10月15日(木)、令和9年2月9日(火)。いずれも9:30開始
申請期間 試験月の1日〜20日(4月・8月・12月)
試験地 東京・札幌・仙台・長野・金沢・名古屋・大阪・広島・松山・熊本・那覇
試験手数料 9,200円(ほかに振込手数料220円)
科目と問題数 無線工学12問+法規12問(あわせて1時間)、英語(会話)5問(30分以内)、電気通信術(欧文の送話・受話。50字・約2分)
出題形式 多肢選択式(電気通信術を除く)
合格基準 無線工学は60点満点中40点以上、法規は60点満点中40点以上、英語は100点満点中60点以上、電気通信術は送話・受話ともに80点以上(各100点満点)
免許の申請 合格後、住所または受験地を管轄する総合通信局へ申請。免許に有効期限はない
合格率 協会の公開資料に資格別の合格率は載っていない。令和7年度の申請者数は390人

出典:令和8年度 特殊無線技士国家試験案内、試験問題数と試験時間(表1)、合格基準(表2)、日本無線協会 受験案内、令和7年度事業報告書、総務省 近畿総合通信局 無線従事者Q&A (2026年10月3日確認) ※年度が変わると日程・手数料は変わることがあります。受験前に協会の最新の案内を確認してください。

英語と電気通信術は、試験が始まったあとは試験室に入れません。電卓などの計算器具も使えないので、無線工学の計算問題は手計算で解きます。また、一定の無線従事者資格を持っている人は、申請すると試験の一部が免除されます(協会の表7などに区分があります)。

試験のほかに、養成課程で取る方法もある

無線従事者の資格は、国家試験を受ける以外に、養成課程を修了して取ることもできます。日本無線協会は、第一級海上特殊無線技士の養成課程を東京の本部で開いています。

項目 内容
日程(令和8年度) 5月19日〜25日、9月28日〜10月4日、令和9年2月12日〜18日(各7日間)
受講料 80,150円(英語が免除される人は56,720円。免許申請手数料2,050円を含む)
授業 英語22時間、法規9時間、無線工学6時間、電気通信術2時間
受講資格 どなたでも受講できる
英語が免除される人 船舶職員(漁船を除く)として国際航海に2年以上従事した人、高専・大学を卒業または修了した人、高校卒業後に修業年限2年以上の大学等で英語を履修して卒業または修了した人

出典:令和8年度「公募型」養成課程のご案内(海上・航空資格) (2026年10月3日確認) ※定員は60名。申込は講習日の2か月前から10日前まで。

転職で第一級海上特殊無線技士が評価される理由

国際航海の船の甲板部職員には、第一級以上が必要とされている

国土交通省 中国運輸局の案内によると、無線設備を持つ総トン数20トン以上の船に乗る甲板部職員(船長・航海士・運航士)には、電波法に基づく無線従事者の資格が必要です。必要な級は、船の航海の種類で次のように分かれます。

  • 国際航海に従事する船:第一級海上特殊無線技士以上(総合無線通信士の第一級・第二級、海上無線通信士の第一級〜第三級を含む)
  • 国際航海に従事しない船:第二級海上特殊無線技士以上(総合無線通信士の第一級〜第三級、海上無線通信士の第一級〜第四級を含む)

総トン数100トン未満の国内航海の船や、平水区域だけを走る船など、対象から外れる例外もあります。

国際航海の船の航海士を目指すなら、第一級海上特殊無線技士は「あると有利」ではなく、乗るために必要な資格の最低ラインです。第二級では足りません。

出典:甲板部職員に必要な無線資格|中国運輸局(2026年10月3日確認)

求人でも、第一級を必須にしている募集がある

共栄マリン(東京)は、採用ページで第一級海上特殊無線技士を必須条件に書いています。

  • 中途採用の二等航海士:必須は「4級海技士(航海)以上、1海特」。航海士の経験3年以上も求められます。乗る船は内航のタグボートか多目的作業船で、月給は36万〜54万円、賞与は年2回です。
  • 新卒採用の航海士:大学・商船高専・水産高校(専攻科)は卒業時に3級海技士(航海)と第1級海上特殊無線技士の取得が必須です。海技短大は4級海技士(航海)と第1級海上特殊無線技士の取得です。

出典:共栄マリン 二等航海士、共栄マリン 航海士(新卒)(2026年10月3日確認)

どちらも、第一級海上特殊無線技士だけでなく、海技士(航海)の級と組み合わせた条件です。資格を持っていても、航海士としての免許や経験が足りなければ、応募の条件を満たせません。

国内の船では「第二級以上」と書く募集が目立つ

求人ボックスで「海上特殊無線技士」と検索すると、79件の求人が表示されました(2026年10月3日確認)。上位に出てきた11件の資格欄を読むと、級まで書いてあったのは9件でした。そのうち第二級を挙げたものが8件です。第一級を挙げたのは1件だけで、それも第二級と並べた書き方でした(検索結果は日々変わります)。

  • 久米島オーシャンジェット(沖縄・那覇〜久米島の航路のジェットフォイル甲板部職員):4級海技士(航海)以上と「2級海上特殊無線技士以上」。月給26万5,000円〜50万円。
  • 三協産業(一等航海士):必須は6級海技士以上で、「2級海上特殊無線技士」は歓迎。月給46万〜60万円(固定残業代を含む)。
  • 住鉱物流(愛媛・新居浜のタグボート・旅客船の船員):海技免許5級以上が必須。歓迎に「海上特殊無線技士(1級、2級)」と小型船舶の1級・2級が並びます。未経験でも応募できます。

出典:久米島オーシャンジェット、三協産業、住鉱物流(求人ボックス掲載。2026年10月3日確認)

第一級は第二級の操作範囲を含むので、「第二級以上」と書かれた募集の条件は、第一級でも満たせます。ただし国内の船の募集では、「第二級で足りる」と読める書き方が多く見られます。

資格手当の額は、確認できた求人には書かれていなかった

確認した求人には、海上特殊無線技士を対象にした資格手当の金額が書かれたものはありませんでした。「資格手当あり」「資格取得支援あり」とだけ書く求人はありますが、額は会社ごとに決まります。応募するときは、手当の対象になる資格と額を、面接前に確認しておきましょう。

第一級海上特殊無線技士が転職で有利にならないケース

有利にならないケースも正直にお伝えします。

(1)船や港と関係のない仕事へ移る場合

評価されるのは、船舶運航会社・海運会社・港の運営会社など、船の無線を使う職場です。陸上の無線機の保守では、陸上や航空の資格が条件に挙がる例を確認できました。山形の無線機器保守の求人(市町村の防災行政無線などを扱う会社)では、歓迎する資格として第二級陸上無線技術士、航空無線通信士、第一級陸上特殊無線技士、第四級海上無線通信士などが挙がり、海上特殊無線技士は挙がっていませんでした。

出典:無線機器保守業務・電気通信工事業の求人(山形県酒田市)(求人ボックス掲載。2026年10月3日確認)

(2)海技士の免許がないまま、無線の資格だけで船員になろうとする場合

航海士として募集していた求人は、確認した範囲ですべて、海技士(航海)の免許を必須にしていました。免許の級は「6級以上」「5級以上」「4級以上」とさまざまで、無線の資格は、その免許に加えて求められる位置づけです。

(3)国内の船で、第二級で足りる募集に第一級を持って応募する場合

国内の船の募集は、第二級で足りるものが多くあります。第一級を持っていることで、給与や採用の可否が変わるとは、確認できた求人からは読み取れませんでした。第一級が評価の差になるのは、国際航海の船や、第一級を必須に書いた募集を狙うときです。

(4)合格しただけで、免許を申請していない場合

試験に合格しても、総合通信局に免許を申請して受け取るまでは、資格を持つ人として無線設備を操作できません。履歴書に書く前に、免許証が手元にあるか確認しましょう。免許に有効期限はなく、更新は不要です。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。国際航海の船や、第一級を必須にした募集を選べば、応募の条件になる資格です。次の章で、立場別の活かし方を見ていきます。

【経験別】あなたの場合、第一級海上特殊無線技士は武器になる?

国内の船に乗っている人は、国際航海の船や陸上職へ広げる準備として取る

国内の船の募集は「第二級以上」と書かれたものが多く、第二級で乗れる船に乗っている人もいます。その人が国際航海の船に移りたくなったとき、第一級が必要になります(国土交通省の案内)。乗る船が変わってから慌てて受験するより、先に取っておけば、募集が出たときにすぐ応募できます。

海運会社の陸上職にも、船の経験を生かせる募集があります。ファーストマリンサービス(東京・港区)の船員配乗管理スタッフは、外国人乗組員の配乗計画や労務管理が仕事で、必須条件は「外航船の乗船経験、または船員の配乗・労務管理や教育の経験」とビジネスレベルの英語力(またはTOEIC600点以上)です。無線従事者の資格は条件に書かれておらず、外航の乗船経験が問われます。月給は44万6,700円〜58万円(想定年収790万〜1,050万円)と記載されています。

出典:ファーストマリンサービス 船員配乗管理スタッフ(リクルートエージェント掲載。2026年10月3日確認)

陸上職の募集は、乗船経験の年数や乗った船の種類、英語力で条件が分かれます。海運会社の採用に詳しい担当者なら、あなたの乗船経験がどの募集で評価されるかを、応募の前に教えてくれます。

海運の求人も扱う転職エージェントはこちら

商船系の学生や卒業見込みの人は、卒業までに取るものとして扱う

共栄マリンの新卒の航海士募集のように、卒業時に海技士(航海)と第一級海上特殊無線技士の取得を必須にしている採用があります。商船系の大学・高専・水産高校の専攻科に通っているなら、在学中に第一級を取っておくと、応募できる会社が広がります。

学歴によっては、養成課程の英語が免除されます。高専・大学を卒業または修了した人は、養成課程の受講料が56,720円になります。国家試験で取るか、養成課程で取るかは、費用と日程で選びましょう。

陸上の仕事から船員を目指す未経験の人は、海技士の免許と一緒に考える

陸上の仕事から船員へ移る場合、無線の資格より先に、海技士(航海)の免許を考える必要があります。住鉱物流の船員募集は「未経験OK」ですが、必須は海技免許5級以上です。無線の資格は、歓迎条件のひとつにとどまります。

観光船のスタッフなら、免許なしで始められる募集もあります。小樽運河クルーズの乗船案内スタッフ(時給1,450円〜1,650円)は、船長を目指す場合に小型船舶操縦免許(2級以上)と海上特殊無線技士(3級以上)が必要と書いています。船の仕事に入ってから免許を取る道もあります。

出典:小樽運河クルーズの乗船案内スタッフ(求人ボックス掲載。最終更新日2026年9月10日、2026年10月3日確認)

港や海の無線に関わる仕事をしたい人は、英語力と国際VHFの経験を見せる

港で入出港する船と国際VHF無線電話で話し、外国船とは英語でやり取りする「ポートラジオ」の仕事があります。東洋信号通信社の船舶情報オペレーターは、国際VHFを使って船に情報を伝える仕事で、条件は「英検2級以上、またはTOEIC550点以上」、月給は19万5,000円〜23万5,000円です。求人に無線の資格の指定は書かれていません。

ただし、国際VHFは、日本無線協会が第一級海上特殊無線技士の活躍する分野に挙げる「船舶(国際VHF)」と重なります。資格があれば、仕事の道具の基本を持っていると説明できます。

出典:東洋信号通信社 船舶情報オペレーター(求人ボックス掲載。最終更新日2026年9月8日、2026年10月3日確認)

海上特殊無線技士を活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 給与の目安(求人記載)
国際航海の船の航海士 航海当直、入出港作業、船体の保守 ◎ 第一級以上が必要(国土交通省の案内) 個別の求人は確認できなかった
内航のタグボート・作業船の二等航海士(共栄マリン) 航海当直、船体整備、入出港業務 ◎ 第一級が必須 月給36万〜54万円
旅客船・フェリーの航海士(久米島オーシャンジェット、住鉱物流) 航海当直、入出港、整備 ○ 「第二級以上」の条件を満たせる 月給26万5,000円〜50万円、月給27万1,000円〜35万円ほか
内航の一等航海士(三協産業) 航海当直、荷役、船体の保守整備 ○ 歓迎条件(第二級)を満たせる 月給46万〜60万円(固定残業代を含む)
ポートラジオの船舶情報オペレーター(東洋信号通信社) 国際VHFでの通信、船の動静の把握、配船の調整 △ 資格の指定はないが、仕事の道具と重なる 月給19万5,000円〜23万5,000円
海運会社の陸上職(船員配乗管理など) 外国人乗組員の配乗計画、労務管理、教育 △ 無線の資格の指定はなく、外航の乗船経験が問われる 月給44万6,700円〜58万円(想定年収790万〜1,050万円)

出典:上の各求人(共栄マリン、求人ボックス、リクルートエージェント掲載)と中国運輸局の案内より。給与は会社・船の種類・資格・経験・乗船サイクルで変わります。 (2026年10月3日確認)

船員の月給には、乗船手当や固定残業代が含まれることがあります。基本給と手当を分けて読み、乗船と休みのサイクルも確かめましょう。

あわせて取得すると強い資格

海技士(航海)

船の航海士になるための国家資格です。確認した航海士・船員の求人の多くが、「6級以上」「5級以上」「4級以上」といった級を必須に書いていました。船員を目指すなら、最初に考える資格です。

第三級海上無線通信士

船舶や海岸局の無線設備を、モールス電信を除いて操作できる海上無線通信士の資格で、GMDSS(海上での遭難・安全のための世界共通の通信の仕組み)に対応した無線局の仕事ができます。国家試験のほかに、第一級海上特殊無線技士の資格を持ち、その資格で船舶局の国際通信のための操作に3年以上従事した人は、認定講習を受けて取る道もあります(日本無線協会の案内)。

小型船舶操縦士(一級・二級)

タグボートや観光船など、小型の船を動かす仕事では、小型船舶の免許と海上特殊無線技士を一緒に歓迎・必須とする募集があります。住鉱物流の募集でも、歓迎条件に並んでいました。

第一級海上特殊無線技士に合格するには

4つの合格点を、それぞれ取る必要がある

第一級海上特殊無線技士は、無線工学・法規・英語・電気通信術のそれぞれに合格点があります。

  • 無線工学:12問で60点満点、40点以上。12問を1問5点で計算すると、8問以上の正解が目安です
  • 法規:12問で60点満点、40点以上。こちらも8問以上が目安です
  • 英語:5問で100点満点、60点以上
  • 電気通信術:送話・受話ともに80点以上。どちらかが基準に届かないと、電気通信術は全体として不合格です

得点の高い科目で、低い科目を補うことはできません。1科目でも合格点に届かなければ不合格になる試験です。協会のFAQで、合格した科目を3年間持ち越せる資格の一覧を見ると、第一級海上特殊無線技士は入っていません。一部の科目だけ合格しても、次の試験ではすべての科目を受け直します。

出典:日本無線協会 国家試験についてのFAQ(2026年10月3日確認)

つまずきやすいのは、次の3点です。

  • 無線工学の計算問題
    電卓が使えないため、受信機や電気回路の計算を手で解く練習が要ります
  • 英語の聞き取り
    英語は「会話」の区分で出題され、試験が始まったあとは入室できません
  • 電気通信術の送話・受話
    文章を読むのではなく、50字ほどの欧文を声に出して送り、聞き取って書き取る試験です。受話用紙と書き方の例が協会のホームページに載っています

協会は、過去1年分の問題と解答をホームページに載せています。まずはこれで、問題の形に慣れましょう。独学に不安がある人や、英語が苦手で電気通信術にも自信がない人は、授業で教わる養成課程を選ぶ方法もあります。

直前期は、本番と同じ問数を時間を測って解く

試験の前の1〜2か月は、本番と同じ問数を時間内に解く練習が効きます。無線工学と法規の24問を1時間で、英語の5問を30分以内で解き、3科目のうち、合格点に届いていないものがどれかを確かめましょう。

noteのページ「【海上特殊無線技士】第一級 無線工学・法規・英語 実戦模試3回分」は、本番と同じ配分の29問(無線工学12問、法規12問、英語5問)を3回分、全87問収録した有料のPDF教材です。ア〜エの4択で、問題編と解答編が分かれています。解答編には解説とポイントが付き、計算問題は途中式、英語は通信文の日本語訳も載っています。無料サンプル問題が2問見られます。電気通信術は収録していないので、協会が公開している受話用紙などで別に練習してください。

海上特殊無線技士を活かして転職を成功させる進め方

資格が条件に書かれた求人を探す

求人検索では、「海上特殊無線技士」だけでなく、「航海士」「甲板部」「船員」「タグボート」「船舶管理」「ポートラジオ」といった言葉でも探しましょう。資格名で検索すると、無線の資格が「必須」「歓迎」の欄の奥に書かれた募集を見逃しやすいからです。

船舶運航会社は、自社の採用ページに募集を載せていることもあります。共栄マリンのように新卒と中途で別のページを持つ会社もあるので、気になる会社の採用ページは直接確認しましょう。

職務経歴書で、資格と経験をつなげる

「第一級海上特殊無線技士 取得」と書くだけでは伝わりません。乗船経験と、無線を実際に使った場面を、あわせて書きましょう。

  • 乗った船の種類、総トン数、航行区域、役職、乗船期間
  • 国際VHFやデジタル選択呼出装置を使った、入出港の連絡や他船との通信の経験
  • 海技士(航海)の級と、取得済みか取得予定か

転職エージェントを味方につける

船員の求人は、海技士の級・乗船経験・船の種類で応募できるかが細かく決まっています。応募前に、自分の免許と経験で応募できる募集かどうかを確かめられると、時間の無駄が減ります。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから内定後の手続きまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

乗船や休みの条件を相談し、内定後に年収を交渉してもらえる

「乗船は2か月までにしたい」「内航から外航へ移りたい」「陸上職も視野に入れたい」といった希望を、担当者に伝えられます。リクルートエージェントは、内定後の年収交渉の相談にも乗ると案内しています。

希望に合う求人を紹介してもらえる

希望を伝えると、条件に合う求人を紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人を含めて紹介を受けられるのが、転職エージェントの特徴です。エリートネットワークは、求人サイトに載らないコンフィデンシャルな求人を多く持つと案内しています。

入社前に職場の実情を知れる

募集に書かれた乗船サイクル、船の種類、資格手当の有無、陸上職への異動のしやすさなど、求人票だけでは分からない情報を、応募前に確認できます。リクルートエージェントは、企業ごとの独自情報をもとに面接対策をすると案内しています。

書類や面接の対策をしてもらえる

乗船経験や無線の経験を職務経歴書にどう書くか、面接でどう伝えるかを、担当者に相談できます。エリートネットワークは、応募書類の添削と、企業ごとの面接対策を案内しています。

面接の日程調整を任せられる

下船中の限られた期間や、今の仕事の合間に面接を入れる場合でも、企業との日程調整を担当者に任せられます。

さらに、これらは求職者に費用がかからないサービスです。エージェントは採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みなので、求職者がお金を払うことはありません。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • 国内の船で働いていて、国際航海の船や陸上職へ移れるか知りたい
  • 自分の海技士の級と無線の資格で、応募できる募集の幅を知りたい
  • 船員の経験を、海運会社の陸上の仕事に生かせるか聞きたい
  • 転職するかは決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの免許と乗船経験で、どんな募集があるのかを質問し、答えてもらうだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
エリートネットワーク 正社員・大手企業向け(海運に実績) 正社員の転職に特化し、日本郵船・商船三井・川崎汽船の大手海運3社すべてに入社決定の実績があると案内している。応募書類の添削や面接対策も提供 船員の経験を生かして、大手海運会社の陸上の技術職などへ移りたい人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 求人数が多く、海運・港湾関連の求人も公開されている。提出書類の添削や面接対策、内定後の年収交渉も案内している 海運のほか、港湾や物流も含めて幅広く比べたい人

船員の乗船求人(航海士・甲板部員)に絞って紹介する転職エージェントは、公式サイトで確認できたものがなく、この表には入れていません。気になる会社の採用ページや、求人サイトの個別の募集も、あわせて見てください。海運に実績のあるエージェントと総合型を1社ずつ、2社に登録して、紹介される求人を比べるのがおすすめです。

よくある質問

第一級海上特殊無線技士は意味ない資格ですか?

船や港と関係のない仕事では評価されにくい資格です。一方で、国際航海の船の甲板部職員には、国土交通省の案内で第一級以上が必要とされ、共栄マリンのように第一級を必須にする採用もあります。海技士(航海)とセットで見せることで意味のある資格です。

第一級と第二級は、どちらを取ればいいですか?

乗る船が国際航海かどうかで決まります。国際航海の船の甲板部職員は第一級以上、国際航海をしない船は第二級以上が必要です(中国運輸局の案内)。国内の船だけで働くつもりなら、第二級でも足りる募集が多く見られました。将来、国際航海の船へ移る可能性があるなら、第一級を先に取っておくと募集に対応しやすくなります。

未経験や、陸上の仕事をしている人でも受験できますか?

受験資格はなく、誰でも受験できます。ただし、船員として働くには、海技士(航海)の免許が別に必要です。住鉱物流の募集のように「未経験OK」でも、海技免許5級以上を必須にしているものがあるので、免許の取り方も調べておきましょう。

国家試験と養成課程は、どちらで取るのがいいですか?

費用を抑えたいなら国家試験です。試験手数料は9,200円(ほかに振込手数料220円)です。養成課程は受講料が80,150円(英語が免除される人は56,720円)かかりますが、7日間の授業で修了して取れます。独学に自信がない人や、日程を決めて一気に取りたい人に向いています。

独学で合格できますか?

協会が過去1年分の問題と解答を公開しているので、独学で受験する人もいます。無線工学の計算と、英語の聞き取り、電気通信術の送話・受話が山場です。直前期の総仕上げには直前ノートもご活用ください。

資格の更新は必要ですか?

無線従事者の免許に有効期限はなく、更新は不要です。ただし、合格したあとに総合通信局へ免許を申請しないと、資格を持つ人として無線設備を操作できません。

まとめ:あなたの次の一手

第一級海上特殊無線技士は、国際航海の船の甲板部職員を目指す人にとって、乗船のために必要な資格です。国内の船では第二級で足りる募集が多く、資格単体で採用が決まるわけではありません。

あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。

参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。