資格×転職
PR司法書士は転職に有利?求人での評価と、合格後の登録・実務経験で変わる活かし方
「司法書士を取れば、転職で本当に有利になるのかな」
「合格率が5%前後の試験に挑むなら、取ったあとの進路まで知っておきたい」
そう迷っていませんか?
結論を先に書くと、司法書士は、登記や不動産取引、会社の手続きに関わる仕事で、資格そのものが応募の条件に挙がる資格です。司法書士事務所だけでなく、M&Aを扱う会社の法務や、グループ会社の登記・法務を担う求人でも「司法書士資格をお持ちの方」が必須条件に挙がっています。
一方で、合格しただけで司法書士として働けるわけではなく、登録を済ませ、実務で経験を積んではじめて評価が決まるのも事実です。企業の法務では実務経験を求める求人もあるため、資格の有無より「合格後にどこで何を経験するか」が年収を左右します。
この記事では、法務省と日本司法書士会連合会の公表資料、実際の求人の記載をもとに、司法書士が転職でどう評価されるのかを解説します。
結論:司法書士は転職に有利?
結論は「登記・法務の仕事では有利。ただし合格後の登録と実務経験が評価の中心」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。
| あなたの状況 | 転職での有利さ | 次の一手 |
|---|---|---|
| 司法書士事務所の補助者や、不動産・会社の登記の実務経験あり + 合格済み |
◎ 事務所の司法書士職、企業の法務・登記職の両方で応募できる | 登録を済ませ、事務所と企業法務の求人を比べる |
| 実務経験なし + 合格済み |
○ 実務未経験を受け入れる事務所の求人がある | 登録後の働き方(補助業務から始めるか)を条件に応募する |
| 受験中・これから受験 | △ 資格はまだ武器にならないが、補助者として働きながら学べる求人がある | 筆記合格を最優先にしつつ、補助者の求人も視野に入れる |
司法書士の受験に資格の制限はなく、誰でも受けられます。ただし合格率は5%前後と低く、合格者の平均年齢は40代前半です。仕事を続けながら合格した人も多いと考えられ、そのぶん合格後の選択肢を広く見ておく価値のある資格です。
司法書士とは?1分でわかる基本情報
司法書士は、法務省が実施する国家試験に合格した人が、日本司法書士会連合会に登録することで名乗れる法律専門職です。法務省は主な業務として次の4つを示しています。
- 登記または供託の手続きの代理(不動産や会社・法人の登記申請など)
- 裁判所・検察庁・法務局に提出する書類の作成
- 登記・供託に関する審査請求の手続きの代理
- 簡易裁判所での訴訟などを代理する簡裁訴訟代理等関係業務
4つめの簡裁訴訟代理等関係業務は、登録するだけでは行えません。簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を持つと法務大臣が認定した司法書士に限られます。認定を受けるには、日本司法書士会連合会の特別研修を修了し、法務省の認定考査に合格する流れです。
令和8年度試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施 | 法務省(司法書士法第6条に基づく国家試験) |
| 受験資格 | 制限なし(年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験できる) |
| 受験手数料 | 8,000円(収入印紙で納付) |
| 受験申請 | 令和8年5月7日〜5月18日 |
| 筆記試験 | 令和8年7月5日(日)午前の部9時30分〜11時30分、午後の部13時〜16時 |
| 筆記の合格発表 | 令和8年10月1日(木)午後4時 |
| 口述試験 | 令和8年10月13日(火)。東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松で実施 |
| 最終合格発表 | 令和8年11月5日(木)午後4時 |
| 受験者数 | 筆記試験の受験者14,960人(出願者は17,862人) |
| 合格率 | 令和7年度は受験者14,418人に対し最終合格751人、約5.2% |
| 登録 | 合格後、司法書士会を経由して日本司法書士会連合会の名簿に登録。登録手数料は25,000円 |
出典:令和8年度司法書士試験受験案内書|法務省、令和8年度司法書士試験の出願状況について|法務省、令和8年度司法書士試験筆記試験(多肢択一式問題)の基準点等について|法務省、令和7年度司法書士試験の最終結果について|法務省、司法書士登録手数料について|日本司法書士会連合会 (2026年10月1日確認) ※受験前に必ず法務省の最新の受験案内を確認してください。
筆記試験は午前・午後の2部構成で、足切りがある
筆記試験の内容は、法務省の受験案内書で次のように定められています。
| 部 | 試験内容 | 方式と配点 |
|---|---|---|
| 午前の部 | 憲法、民法、商法(会社法その他の商法分野を含む)、刑法 | 多肢択一式35問・105点満点 |
| 午後の部 | 不動産登記・商業(法人)登記、供託、民事訴訟・民事執行・民事保全、司法書士法第3条第1項第1号〜第5号の業務に必要な知識・能力 | 多肢択一式35問・105点満点、記述式2問・140点満点 |
午前の多肢択一式、午後の多肢択一式、午後の記述式のどれか1つでもそれぞれの基準点に届かないと、それだけで不合格です。合計点が高くても、1つの基準点を割ると合格できません。
令和7年度は、満点350点中255.0点以上が合格点でした。基準点は午前が105点中78点、午後の多肢択一式が105点中72点、記述式が140点中70.0点です。令和8年度は、多肢択一式の基準点が午前84点、午後75点と、前年より上がりました(令和8年度の合格点と記述式の基準点は法務省の発表で確認できます)。1問3点なので、午前の84点は35問中28問の正解にあたります。基準点は年度で変わるため、「何点取れば安全」と決めつけず、全部の部分で安定して得点する準備が必要です。
口述試験は、筆記に合格した人だけが受ける
司法書士法は、口述試験を「筆記試験に合格した者について行う」と定めています。令和8年度の筆記合格発表が10月1日、口述試験が10月13日と、間はわずか12日です。
口述試験の範囲は、受験案内書で、不動産登記・商業(法人)登記に関する知識と、司法書士法第3条第1項第1号〜第5号に規定する業務を行うのに必要な知識及び能力と定められています。憲法・民法などは範囲として独立して指定されていません。一方で、試問数や試験時間、口述試験だけの合格基準は、受験案内書に記載がありません。令和7年度の最終合格751人に対し、筆記試験の総合得点別員数表で合格点255点の欄までの累計は760人と、数字は近い水準です。ただし前年の筆記合格者が申請で筆記を免除されて口述だけ受けるため、口述試験だけの合格率は法務省の公表資料から計算できません。実際には、筆記を通ることが最大の関門だと考えてよいでしょう。
筆記に合格した人は、申請によって次回の筆記試験が免除されます。最終合格に届かなかった場合でも、翌年は筆記から受け直さずに済む仕組みです。
令和7年度の合格率は5.2%、合格者の平均年齢は42歳
| 項目 | 令和7年度 |
|---|---|
| 筆記試験の受験者数 | 14,418人 |
| 最終合格者数 | 751人 |
| 合格率 | 約5.2% |
| 合格者の平均年齢 | 42.05歳(最低17歳、最高74歳) |
出願者は令和6年度の16,837人、令和7年度の17,365人、令和8年度の17,862人と増え続けています。受験者が増えるなかでの合格率の低さですが、合格者の平均年齢は40代前半で、社会人が仕事と両立しながら合格している試験でもあります。
転職で司法書士が評価される理由
資格者を応募条件にした求人が、事務所にも企業にもある
求人ボックスで「司法書士資格」を条件とした求人を調べると、司法書士事務所の求人だけでなく、事業会社の法務や登記を担うポジションも見つかります(2026年10月1日確認)。たとえば次のような記載があります。
- 司法書士法人(東京・登記と企業法務):「必須条件:司法書士資格をお持ちの方」、月給27万〜37万円、未経験OK。企業法務・商業登記が7割、不動産登記が3割の業務割合
- 司法書士法人(大阪・不動産登記・商業登記・相続):応募条件は「司法書士資格者」、月給35万円〜(みなし残業40時間分を含む)、未経験OK
- M&A仲介会社の法務(東京):「司法書士資格をお持ちの方」が必須条件。月給50万〜75万円(固定残業44時間分を含む)。法律事務所・司法書士事務所・事業会社の法務部いずれの経験も可としつつ、実務経験1年以上を求める
- グループ会社の法務・登記(名古屋):応募資格は「司法書士資格(必須)」。会社設立・組織再編・M&Aに伴う登記や、契約書・法務書類の確認が仕事で、月給30万〜50万円
この資格は、登記申請の代理などを司法書士にしか認めない仕組みと結びついています。司法書士法第73条は、司法書士会に入会している司法書士か司法書士法人でない者が、第3条第1項第1号〜第5号の業務(登記や供託の手続き代理、書類作成など)を行うことを原則として禁じています。そのため事務所は有資格者を採らなければ登記の業務を広げられません。企業の求人でも、グループの登記や法務を社内で担う人材として司法書士資格者を募集する例があります。
実務未経験でも応募できる求人がある
求人には「未経験OK」と明記され、司法書士資格を持っていれば実務経験がなくても応募できる例があります。たとえば、東京の大手デベロッパー案件を中心に扱う司法書士事務所の求人は、月給35万〜60万円、「実務未経験OK」で、中途採用の比率が8割と記載しています。東京の司法書士法人の求人では、入社後は事務業務から始め、半年〜1年で独り立ち、2年程度で一通りの業務を習得するイメージを示しています。
合格しても実務経験がない人が多いのは、この試験の特徴です。受け入れる事務所側が、合格者を育てる前提で採用していることが、求人の記載から読み取れます。
補助者の求人でも、資格手当を含む収入例を示す求人がある
埼玉の司法書士・土地家屋調査士事務所の補助者求人は、司法書士資格を「推奨・未経験可」とし、有資格者・業界経験者・勉強中の人を歓迎しています。月給は21万〜50万円で、収入例として「月給21万円+資格手当5万円+みなし残業4万円=月収30万円」を示しています。ただし、どの資格がどの条件で手当の対象になるかは求人に細かく書かれていないため、応募前に確認が必要です。
司法書士が転職で有利にならないケース
(1)合格しても登録・入会をしていない場合
司法書士になるには、日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録を受けなければなりません(司法書士法第8条)。登録の申請は、事務所を設けようとする地域の司法書士会を経由して行い、司法書士会への入会の手続きをとらないと登録は拒否されます。司法書士でない人は「司法書士」の名称も使えません(同法第73条第3項)。
合格証書があっても登録前は司法書士として登記申請を代理できないため、「合格=すぐ司法書士として働ける」わけではありません。日本司法書士会連合会は、登録を考える合格者に新人研修を実施しています。履歴書に書くときは、登録の予定と時期を添えておくと、採用側が入社後の働き方を描きやすくなります。
(2)企業の法務で、実務経験が求められる場合
企業の法務ポジションでは、資格だけでなく経験が問われます。先ほどのM&A仲介会社の求人は、資格に加えて実務経験1年以上を必須としています。登記の実務を一度も経験していない状態で、企業の法務職を狙うのは難しいのが実情です。
この場合は、最初の1〜2年を事務所で過ごして商業登記の実務を積み、そのあとで企業法務に移る道があります。M&A仲介会社の求人も、「司法書士試験合格後、司法書士事務所に就職したものの、商業登記案件が少なく改めて経験を積みたい方」を歓迎すると書いています。
(3)訴訟代理まで任せてもらえると期待する場合
司法書士の登録をしても、簡裁訴訟代理等関係業務は特別研修と考査を経た認定がなければ行えません。事務所の求人で「訴訟業務を任せる」と書かれていても、認定を受けているかどうかで任される範囲が変わります。応募前に、認定を前提とするのか、入社後に取得を支援するのかを確認しておきましょう。
とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。登録と実務経験を順に積めば、事務所・企業の両方に道が開ける資格です。次の章で、状況別の活かし方を見ていきます。
【状況別】あなたの場合、司法書士は武器になる?
事務所の補助者や登記の実務経験者は、司法書士職として即戦力になる
もっとも有利なのがこのタイプです。補助者として登記や相続の書類作成を経験していれば、合格・登録後に、その経験を前提とする事務所へ司法書士として応募できます。補助者の求人には、資格手当を収入例に含める例もあります。
たとえば、東京の司法書士法人の求人は「実務未経験OK」でも、商業登記または不動産登記の実務経験を歓迎条件に挙げ、将来はパートナー(社員司法書士)を目指せるとしています。一方で、事務所によって扱う案件は大きく違います。デベロッパーの不動産決済を中心に扱う事務所もあれば、企業法務が7割の事務所もあります。自分の経験と同じ案件の割合が高い事務所を選ぶと、入社後の立ち上がりが早くなります。
事務所と企業の両方を比べたい方へ
司法書士の補助者経験は、事務所の司法書士職にも、企業の法務・登記職にもつながります。案件の割合や登録後の待遇まで確認したうえで選べます。
不動産・金融・法務の実務者は、登記を自社で担う企業法務へ移れる
不動産会社、金融機関、一般企業の法務・総務で、契約書や登記の周辺業務に携わっている人は、司法書士を取ることで、手続きを外部に任せる側から処理する側へ移れます。名古屋のグループ会社の求人は、会社設立・役員変更・組織再編・M&Aに伴う登記、グループが取得する不動産の登記、契約書の確認、社内からの法務相談への対応を一人で担うポジションとして募集しています。
実務未経験の合格者は、補助業務からのスタートを前提に条件を選ぶ
実務未経験で合格した人は、事務所の中で事務や補助業務から始めて独り立ちする流れが前提になります。ここで大切なのは、独り立ちまでの期間と、その間の給与を面接で確認することです。求人には、半年〜1年で独り立ち、2年程度で一通り習得するというイメージを書く事務所があります。
受験中の人は、補助者として働きながら学ぶ道がある
福岡の司法書士法人の補助者求人は、「司法書士試験勉強中の方」を応募条件に挙げ、不動産登記・商業登記・相続登記・債務整理・民事信託・成年後見を補助する仕事を示しています。月給は20万〜35万円(みなし残業25時間分を含む)です。勉強時間を確保できるか、残業や勤務日数は応募前に確認しましょう。
司法書士を活かせる仕事と年収の目安
| 仕事 | 主な内容 | 資格の位置づけ | 給与の目安(求人記載) |
|---|---|---|---|
| 企業法務に強い司法書士法人の司法書士 | 商業登記、会社設立、M&A・組織再編の登記、不動産登記 | 必須 | 月給27万〜37万円、想定年収500万〜800万円(賞与は年3回) |
| デベロッパー案件中心の事務所の司法書士 | 不動産決済、分譲マンション引渡しの登記、都市再開発に伴う登記 | 必須 | 月給35万〜60万円 |
| 不動産・商業登記・相続を扱う司法書士法人 | 登記、相続、組織再編などの企業法務 | 必須 | 月給35万円〜(みなし残業40時間分を含む)、想定年収420万円〜 |
| M&A仲介会社の法務 | 契約書チェック、商業登記、株主総会対応、社内教育 | 必須(実務経験1年以上も必要) | 月給50万〜75万円、年収600万〜900万円(固定残業44時間分を含む) |
| グループ会社の法務・登記 | 会社設立・組織再編・M&Aの登記、契約書確認 | 必須 | 月給30万〜50万円、想定年収360万〜600万円 |
| 司法書士事務所の補助者 | 登記書類の作成補助、法務局・役所対応、書類回収 | 不要(推奨。資格手当を収入例に含む求人あり) | 月給21万〜50万円、想定年収250万〜600万円(みなし残業を含む)。別の求人で月給20万〜35万円の例あり |
出典:求人ボックス掲載の各求人の記載より(2026年10月1日確認)。給与は事務所・企業・地域・経験、固定残業代の有無で大きく変わります。
同じ「司法書士の求人」でも、事務所ごとの案件の割合、賞与の回数、固定残業代の含み方で、月給の見かけが変わります。月給の額だけで比べず、固定残業の時間数と賞与の有無まで確認しましょう。
あわせて取得すると強い資格
土地家屋調査士
不動産登記は、権利を記録する登記と、土地や建物の物理的な状況を記録する表題登記に分かれます。後者は土地家屋調査士の業務領域です。求人には、司法書士法人と土地家屋調査士法人を併設し、不動産決済や相続登記から地目変更などの表題登記まで一貫して扱う事務所があります。両方の知識があれば、不動産の相続や売買を一括して扱える人材として、こうした事務所で話が早くなります。
行政書士
会社設立や相続手続きなど、司法書士の業務と依頼が重なる分野があります。両方の知識があると、依頼者の相談を最初から最後まで受けやすくなります。
司法書士試験に合格するには
筆記は「足切り」を前提に、択一と記述を両方仕上げる
司法書士試験は、年齢・学歴を問わず誰でも受けられるため、学習の進め方は人によってさまざまです。ただし筆記には、前の章で見たとおり午前・午後の多肢択一式と記述式の3つに基準点があり、得意な部分で苦手な部分を補うことができません。
独学でつまずきやすいのは次の3点です。
- 午前と午後で問われる法律の種類が大きく違う
午前は憲法・民法・商法・刑法、午後は不動産登記・商業登記・供託・民事訴訟・民事執行・民事保全と、範囲が非常に広い。全部を同じ深さで勉強すると時間が足りなくなる - 記述式は答案を書き上げる練習が必要
不動産登記と商業登記について、登記申請書の作成まで求められる。知識があっても、時間内に正確に書く練習をしないと基準点を割る危険がある - 試験に適用される法令は決まった日の時点のもの
令和8年度は令和8年4月1日時点で施行されている法令が基準。改正のあった分野は、古い教材で覚えたままにしない
復習では、解けたかどうかだけでなく、基準点を割りやすい午前の択一式と記述式のどちらが弱いかを毎回確認しましょう。
筆記に合格したら、口述は「声に出して答える」練習に切り替える
筆記に合格すると、口述試験までの日数はごくわずかです。口述は、書いて答える練習ではなく、質問された形で答えを組み立て、声に出す練習が必要になります。範囲は、不動産登記・商業(法人)登記と、司法書士法第3条第1項第1号〜第5号の業務に必要な知識です。受験案内書に試問数や時間の定めがないため、公式に示された範囲の中で、何を答えられるようにするかに絞って準備します。
条文を読み直すと分かった気になる一方で、口頭で順序立てて答えられない場面は意外と多いものです。たとえば、司法書士法第21条の「正当な事由がある場合でなければ依頼を拒むことができない」と、第22条の「業務を行い得ない事件」は、混同しやすい組み合わせです。
直前ノートの「【司法書士 口述試験対策】想定問答30問」は、口述試験の範囲をもとにした想定問答のPDFです。司法書士法・不動産登記・商業(法人)登記の3章で各10問、全30問を収録しています。各問に「何を聞かれるか」「答えに入れる項目と根拠条文」「書き出しの例」「答えの組み立て例」「落とすところ」が付き、令和8年4月1日時点の施行法令に合わせて作られています。口述試験の実際の質問は公表されていないため、過去問の再録ではなく、公式の試験範囲をもとにしたオリジナルの問題です。第1章から2問の無料サンプルも、noteのページで読めます。筆記の教材ではなく、筆記に合格した人が口述に備えるための1冊です。
筆記に合格したら、口述を声に出して確認する
問いだけを見て声に出し、止まったテーマだけ根拠条文と答えの項目を確認する使い方ができます。
司法書士を活かして転職を成功させる進め方
事務所と企業の両方で求人を探す
求人検索では「司法書士」だけでなく、「司法書士資格」「司法書士補助者」「商業登記」「企業法務」といった言葉でも探してみましょう。資格者を条件にした求人は、事務所だけでなく、M&Aを扱う会社やグループ会社の法務にもあります。事務所の求人は案件の種類(不動産登記・商業登記・相続・債務整理など)、企業の求人は実務経験の年数の条件が分かれ目です。
職務経歴書で、登録の予定と扱った手続きを書く
「司法書士 合格」と書くだけでは伝わりません。登録の時期、補助者として扱った手続き(不動産決済の立会い、会社設立、相続登記、役員変更など)と、その件数や担当の範囲を具体的に書きましょう。企業法務を狙う人は、契約書の確認や株主総会の運営に関わった経験があれば、それも書きます。
転職エージェントを味方につける
登録の時期、補助者としての経験、企業法務への関心を条件に、事務所と企業の両方を比較する作業を、働きながら1人で進めるのは大変です。さらに、司法書士の求人は事務所ごとに案件の割合や待遇が大きく違い、求人票だけでは違いが見えにくいのが実情です。
転職エージェントを使うメリットは?
求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。
年収や登録後の待遇を相談できる
「登録後に資格手当は付きますか」「新人研修への参加や登録の費用はどう扱われますか」と、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントは企業との間に入り、年収や入社日の調整といった条件の交渉を手伝います。
希望に合う求人を紹介してもらえる
「企業法務の割合が高い事務所がいい」「不動産決済を中心に扱いたい」「いずれ事業会社の法務に移りたい」。希望を伝えるだけで、条件に合う求人を選んで紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあります。
入社前に職場の実情を確認できる
独り立ちまでの期間、案件の割合、司法書士や補助者の人数、残業の長さなど、求人票だけでは分からない点を、募集の背景とあわせて教えてもらえます。
書類や面接の対策をしてもらえる
補助者の経験をどう職務経歴書に書くか、面接で事務所の案件と自分の経験をどうつなげるかを、士業の転職に詳しい担当者に相談できます。
面接の日程調整を任せられる
面接の日程調整や企業とのやり取りを任せられるため、今の仕事や受験勉強を続けながらでも転職活動を進められます。
さらに、リクルートエージェントのサービスは求職者が無料で利用できます。採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みで、相談料やサービス料を求職者から受け取ることはないと公式に説明されています。
こんな人は、まず相談だけでもしてみてください
- 補助者として働いているが、登録後の待遇が見えない
- 事務所を移るか、企業の法務に挑戦するか迷っている
- 合格はしたが、実務未経験で応募先の選び方が分からない
- 今の年収や働き方に満足していない
- 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい
1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と資格なら、どんな事務所や企業の求人があるのかを聞くだけでも価値があります。
どの転職エージェントが自分に合う?
| 転職エージェント | タイプ | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| アガルートキャリア | 特化型(士業・法務・管理部門) | 司法書士・補助者の求人を専用のページで探せる。司法書士法人・事務所から企業法務まで、非公開求人を含めて扱う | 合格後の登録や、事務所・企業法務の選び方を、士業に詳しい担当者と決めたい人 |
| リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) | 総合型 | 公開求人約80万件・非公開求人約29万件(2026年8月30日時点の公式表示)。面接の日程調整や条件交渉をアドバイザーに任せられる | 事務所に限らず、企業の法務・総務・管理部門まで幅広く比べたい人 |
迷ったら、特化型と総合型を1社ずつ、2社に登録するのがおすすめです。事務所の求人は特化型で、企業の管理部門の求人は総合型で比べると、自分の経験がどちらで評価されやすいかが分かります。
よくある質問
- 司法書士は、合格したらすぐ司法書士として働けますか?
司法書士になるには、日本司法書士会連合会の名簿に登録を受ける必要があります。登録の申請は司法書士会を経由し、司法書士会への入会の手続きも必要です。合格しただけで登記申請を代理することはできません。
- 実務経験がなくても採用されますか?
司法書士資格を持っていれば、実務未経験でも応募できる事務所の求人があります。入社後は事務や補助業務から始め、半年〜1年で独り立ちを目指す事務所が見られます。一方で、企業の法務は実務経験1年以上を求める求人もあるため、応募先ごとに条件を確認してください。
- 資格手当はいくらくらいですか?
補助者の求人に、収入例として資格手当5万円を含めた記載がある例があります。ただし金額や対象となる資格、条件は事務所ごとに異なるため、応募前に確認しましょう。
- 口述試験の合格率はどのくらいですか?
法務省の受験案内書には、口述試験だけの合格率や合格基準の記載がありません。令和7年度は、筆記の合格点以上の人数が760人、最終合格者が751人でした。筆記に合格することが最大の関門ですが、口述でも問われるのは登記と司法書士の業務の範囲です。試問数や時間が定められていないため、範囲を声に出して答える準備が欠かせません。直前ノートもご活用ください。
- 司法書士のあと、簡易裁判所の訴訟も扱えますか?
登録だけでは扱えません。日本司法書士会連合会の特別研修を修了し、法務省の認定考査に合格して法務大臣の認定を受けると、簡裁訴訟代理等関係業務を行えます。
まとめ:あなたの次の一手
司法書士は、登記や会社の手続きに関わる仕事で、資格を応募の条件にした求人が事務所にも企業にも実在する資格です。一方で、合格だけでは働けず、登録と実務経験を積んではじめて評価が決まります。
受験中なら、まず筆記の3つの基準点を安定して超えることを優先しましょう。合格後は、登録のタイミングと、事務所で経験を積むか企業の法務に進むかを、求人の条件を比べながら決めていくのが近道です。
参考