資格×転職
PRワークライフ・コーディネーター認定試験は転職に有利?社労士との違いと、人事・労務の仕事での活かし方
「ワークライフ・コーディネーターを取ったら、人事や労務の仕事への転職で有利になるのかな」 「社会保険労務士とは何が違うのか、取る意味があるのか分からない」
そう迷っていませんか?
結論を先に書くと、ワークライフ・コーディネーター認定試験は、資格そのものが転職の決め手になる資格ではありません。求人サイトで資格名を検索しても、資格を条件や歓迎条件にした求人は見つかりませんでした。
一方で、年次有給休暇、育児・介護と仕事の両立、労働時間、社会保険、所得税までを、60問の試験範囲で一通り学べます。人事・総務・労務の担当者や管理職が、制度の名前と中身を整理し直すために受ける意味はあります。なお、社会保険労務士のような国家資格ではなく、協会が認定する民間資格です。
この記事では、協会の公式情報と人事・労務の実際の求人をもとに、この資格で何を学び、仕事や転職でどう使えるのかを解説します。
結論:ワークライフ・コーディネーターは転職に有利?
結論は「資格だけでは転職で有利にならない。人事・労務の経験と組み合わせて、制度の知識を一通り学んだことを示す資格」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。
| あなたの状況 | 転職での有利さ | 次の一手 |
|---|---|---|
| 人事・総務・労務の経験あり + 資格あり |
○ 制度を使って何をしたかを、根拠とあわせて説明できる | 職務経歴書に、制度を使って仕事を変えた場面を書く |
| 人事・総務・労務の経験あり + 資格なし |
△ 評価は経験で決まる。知識の抜けを埋めたいなら役に立つ | 出題項目の5章を見て、知らない分野が多いなら受験する |
| 人事・労務の経験なし + 資格あり(または取得予定) |
△ 労働法の基礎を学んだ姿勢は伝わるが、決め手にはならない | 未経験可の求人と、基礎知識を求める求人から応募先を探す |
名前が似ている社会保険労務士は、法律に基づく国家資格で、受験資格も試験の中身もまったく別です。違いは次の章の表で確認できます。
ワークライフ・コーディネーター認定試験とは?1分でわかる基本情報
ワークライフ・コーディネーター認定試験は、一般財団法人 全日本情報学習振興協会が主催する認定試験です。協会は、企業経営者や人事担当者だけでなく、企業で働く一人ひとりに受けてほしい試験と案内しています。労働に関する法律と、働き方改革で扱われてきたテーマ(長時間労働の是正、柔軟な働き方、育児・介護との両立など)を学ぶ内容です。
試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 一般財団法人 全日本情報学習振興協会 |
| 資格の種類 | 協会認定の民間資格(国家資格ではない) |
| 出題範囲 | 総論/テーマごとにみるワークライフ・コーディネート/労働関係/安全・健康面における職場環境の形成/社会保障・税制度の5章 |
| 問題数 | 60問(公開会場はマークシート) |
| 試験時間 | 午前10時〜11時45分(一部のCBT会場は日時が異なる) |
| 合格基準 | 70%以上。問題の難易度により調整し、70%以下でも合格となる場合がある |
| 合格率 | 過去の平均35.7%(対象の回数や受験者数は示されていない) |
| 受験資格 | 公式ページに記載なし |
| 受験料(税込) | 一般11,000円/学割8,800円。前回不合格者は10%割引 |
| 受験方式 | 公開会場(東京・名古屋・大阪)/CBT(全国のテストセンター)/オンラインIBT(自宅など) |
| 受験方法ごとの費用(税込) | 公開会場0円/CBT 1,500円/オンラインIBT 3,000円(360度カメラの往復送料) |
| 直近の回 | 第10回:2026年10月18日(日)。申込は9月10日までで、2026年10月2日時点で締切済み |
| 過去の実施日 | 第5回:2025年5月25日、第6回:8月31日、第7回:11月30日、第8回:2026年2月22日、第9回:6月21日 |
| 第10回より後の日程 | 2026年10月2日時点で、公式の日程表に掲載なし |
| 合格者特典 | 合格証書、写真入りの認定カード、名刺などに使えるロゴ |
出典:協会のワークライフ・コーディネーター認定試験ページ、出題項目、協会の案内ページ、令和7年度試験日程、令和8年~9年試験日程、第9回の解答速報 (2026年10月2日確認) ※受験前に必ず協会の最新の案内を確認してください。
受験資格は公式に書かれていない
協会の試験ページと出題項目のページには、年齢・学歴・実務経験などの受験資格が書かれていません。公開会場で受ける場合は、受験票に貼る写真(縦4cm×横3cm)1枚を当日持参するという案内があるだけです。
合格基準は70%以上、合格率は過去の平均だけが公表されている
合格基準は、協会の案内ページに「70%以上。ただし、問題の難易度により調整し、正答率70%以下でも合格とする場合があります」と書かれています。60問なら42問が目安ですが、調整があるため、42問に届かなくても合格する回がありえます。
合格率は、同じページに「過去の平均合格率:35.7%」と載っています。どの回を何人が受けた数字なのかは書かれておらず、回ごとの受験者数・合格者数も、協会のページでは確認できませんでした。35.7%は、約3人に1人が合格する水準の目安として見てください。
受験日は3〜4か月おきに設定されてきた
第5回から第10回までの実施日は、2025年5月・8月・11月、2026年2月・6月・10月で、間隔は3か月か4か月です。協会のページに、年間の回数を示す表記はありません。第10回より後の日程は、2026年10月2日時点で協会の日程表に載っていないため、次の受験日は協会の発表を待つことになります。ただし、勉強は日程の発表を待たずに始められます。
申込を取り消すことはできない
協会の試験ページの注意事項には、一度申し込むと取り消せず、出席でも欠席でも受験料の支払い義務が発生すると書かれています。日程の見通しが立ってから申し込みましょう。
認定カードには有効期限がある
合格すると、合格証書と写真入りの認定カードが交付されます。協会の認定カード更新のページでは、認定カードの有効期限は取得から2年間(一部の資格は期間が異なる)とされ、更新には約10分のオンラインの更新チェックテストを受けます。一般の更新料は3,300円(税込)と載っています。
更新しなかった場合も、認定が取り消されるわけではありません。同じページに「有効期限が過ぎても認定の失効ではなく、授与された証書は一生変わらないので、履歴書や身上書に書ける」と書かれています。
出典:認定カード更新|協会 (2026年10月2日確認)
社会保険労務士とは別の資格です
「労務」「社会保険」が出題範囲に含まれるため、社会保険労務士(社労士)と混同されやすい資格です。まず違いを並べます。
| 項目 | ワークライフ・コーディネーター認定試験 | 社会保険労務士試験 |
|---|---|---|
| 資格の位置づけ | 協会認定の民間資格 | 社会保険労務士法に基づく国家試験。合格後に名簿へ登録して社会保険労務士となる |
| 試験を行う者 | 一般財団法人 全日本情報学習振興協会 | 厚生労働大臣。試験の事務(合格の決定を除く)は全国社会保険労務士会連合会の試験センターが行う |
| 受験資格 | 公式ページに記載なし | 学歴、実務経験、厚生労働大臣の認めた国家試験の合格のいずれか1つが必要 |
| 試験の形 | 60問 | 選択式8問と択一式70問(科目ごとに合格基準点あり) |
| 受験料 | 11,000円(税込・一般) | 15,000円 |
| 仕事でできること | 資格を持つ人だけができる業務はない | 申請書等・帳簿書類の作成、申請書等の提出代行、事務代理は、社会保険労務士でない者が報酬を得て業として行えない |
出典:社会保険労務士試験の概要|試験センター、受験資格|試験センター、社会保険労務士制度の概要|試験センター (2026年10月2日確認)
出題範囲は、どちらも労働基準法、労働保険、社会保険にかかわります。ただし社労士試験は、労働基準法・労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法などを法律ごとの科目に分けて問います。ワークライフ・コーディネーターは、働き方改革の統計や政策(人口高齢化、リスキリング、柔軟な働き方など)から社会保障・所得税までを60問に収めた、横に広い試験です。
履歴書に書くときは、「社会保険労務士」と受け取られないよう、正式名称の「ワークライフ・コーディネーター認定試験 合格」と書き、主催の協会名を添えてください。
求人でワークライフ・コーディネーターはどう扱われているか
資格名を指定した求人は確認できなかった
マイナビ転職の求人検索(キーワードを掲載内容全体から探す設定)で、「ワークライフ・コーディネーター」「ワークライフコーディネーター」「ワークライフ・コーディネーター認定試験」の3つの書き方を検索したところ、2026年10月2日時点で、いずれも「条件に合う求人はありませんでした」と表示されました。
1つの求人サイトの結果なので、世の中に1件もないとは言い切れません。ただ、少なくとも、資格名を手がかりに応募先を探せる資格とは言えません。資格手当の対象にしている会社についても、確認できた情報はありません。
人事の求人が求めているのは、実務経験と労働基準法の基礎知識
資格名ではなく、人事・労務の求人が何を条件にしているかを見ると、この資格の位置づけが分かります。
東京都の建設会社の求人(人事・給与・採用の担当者の募集)では、応募条件に「人事又は労務の実務経験・労働基準法の基礎知識必須」と書かれています。仕事内容は、勤怠管理、入退社対応の人事労務業務、給与・賞与計算、社会保険の手続き、年末調整などです。給与は、担当職で月給35.2万円〜(固定残業手当なし)と載っています。
この求人が求めているのは「資格」ではなく、労務の実務経験と、労働基準法の基礎知識です。ワークライフ・コーディネーターの出題項目には、労働契約の成立、賃金、労働時間・休憩・休日、休暇と休業、労働関係の終了という労働基準法にかかわる章があり、求人の言う「基礎知識」を学ぶ範囲とは重なります。ただし、求人側がこの資格を基礎知識の証明として扱うとは書かれていません。
出典:佐藤工業株式会社 人事職の求人|マイナビ転職 (2026年10月2日確認。給与は経験・年齢・能力を考慮して決まる)
社労士の事務所の求人は、資格の名前に「社会保険労務士」を挙げている
社会保険労務士法人の「社会保険労務スタッフ」の求人(東京都・静岡県の勤務地)は、未経験でも応募でき、アシスタント業務から始められます。あれば歓迎する資格として挙げられているのは「社会保険労務士資格」で、資格の取得を応援し、手当も設けていると書かれています。給与は月給23万〜45万円です。
この求人で歓迎されているのは、社会保険労務士の資格です。労務の仕事で資格名が挙がる場面では、ワークライフ・コーディネーターではなく社労士の名前が出てきます。
出典:社会保険労務士法人ときわ経営労務の求人|マイナビ転職 (2026年10月2日確認)
それでも学ぶ意味がある理由
資格名での求人が見つからないことは、学ぶ意味がないことと同じではありません。公式のサンプル問題には、次のように、職場で社員や上司から聞かれる場面が多い制度が出ています。
- 年次有給休暇:年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に、年5日を使用者が時季を指定して取得させる義務(違反には罰則あり)が出ています
- 賃金の支払い:賃金の支払日を「毎月第3金曜日」とする定め方が認められるか、が出ています
- 傷病手当金:病気休業中の生活を支える健康保険の制度で、待期の日数や支給される期間が問われています
- 給与所得者の確定申告:給与の収入金額が2,000万円を超える人など、年末調整で済まず確定申告が必要になる条件が問われています
人事・総務・労務の担当者は、こうした質問に「たぶんこうです」ではなく、制度の名前と条件で答えられるようになります。面接では、制度を確かめて社員に答えた具体的な場面を話す材料になります。
ワークライフ・コーディネーターが転職で有利にならないケース
(1)資格だけで人事・労務の仕事に移ろうとする場合
人事・労務の求人で求められているのは、実務経験です。実務経験を求める求人に対して、資格だけで応募しても、経験者と同じ土俵には立てません。経験を積むなら、未経験でも応募できる求人(アシスタント業務から始められる労務スタッフなど)を探すほうが現実的です。
(2)社労士の仕事を期待する場合
この資格を持っていても、労働社会保険の申請書類の作成や提出代行は、報酬を得て行えません。これらの業務に就きたい場合は、社会保険労務士の資格が必要です。
(3)資格手当や昇給を期待する場合
資格を手当の対象にしている会社は、確認できませんでした。受験料や教材費は、自分で出す前提で考え、会社に手当や費用補助の制度があるかを先に確認しましょう。
とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。制度の知識を、仕事の場面で使う形にしていくことで役に立つ資格です。次の章で、立場別に見ていきます。
【立場別】あなたの場合、ワークライフ・コーディネーターは武器になる?
人事・総務・労務の担当者は、社内の質問に制度の根拠で答えられる
もっとも使いやすいのがこのタイプです。育児・介護と仕事の両立、長時間労働の是正、非正規雇用の処遇改善など、働き方改革のテーマは、人事・総務の担当者に相談が集まる分野です。
学んだ内容は、次のような場面で使えます。
- 社員から年次有給休暇や休業の期間を聞かれたとき、制度の条件を確かめて答える
- 就業規則の見直しの会議で、労働時間・休憩・休日の規定の根拠を確認する
- 社員向けの案内資料に、傷病手当金や育児・介護の制度の流れを分かりやすく書く
ただし、法律の細かい解釈や、個別の手続きの判断は、社労士に確認するほうが確実です。この資格で身につくのは、社労士や専門家に「何を聞けばよいか」が分かる状態です。
管理職・経営者は、部下の両立の相談に制度で応じられる
部下から介護や育児の相談を受けたとき、制度を知っているかどうかで、返せる言葉が変わります。柔軟な働き方(テレワーク、フレックスタイムなど)や、病気の治療と仕事の両立の支援は、出題項目に入っています。
管理職は、部下の働き方を決める立場です。制度の全体像を知っていると、個別の相談を人事部門につなぐ前に、選べる選択肢を整理できます。
人事・労務の経験がない人は、資格より先に「応募できる求人」を探す
労働基準法の基礎知識を学んだことは、基礎知識を求める求人に応募する理由になります。ただし、実務経験を必須にしている求人には、資格だけでは届きません。
未経験から人事・労務に移るなら、まず、未経験でも応募できる求人を探しましょう。応募書類には、資格名より先に、今の仕事で労働時間や休暇、社会保険に関わった場面を書きます。販売や事務の仕事でも、シフトの調整や勤怠の確認などに関わった経験は、人事・労務の入口の材料になります。
社労士を目指す人は、全体像を知る入口にできる
社労士試験の勉強に入る前に、労働・社会保険の全体の流れをつかみたい人は、この試験の範囲を最初の地図として使えます。ただし、社労士試験は科目ごとに法律の条文と細かい数字を問う試験で、ワークライフ・コーディネーターの範囲だけでは足りません。受験資格を満たしている人が社労士を目指すなら、この資格を経由せず、社労士試験の勉強から始めても構いません。
ワークライフ・コーディネーターを活かせる仕事と求人の例
| 仕事 | 主な内容 | 資格の効き方 | 求人の例(確認日 2026-10-02) |
|---|---|---|---|
| 人事・総務(労務・給与) | 勤怠管理、入退社の手続き、給与・賞与の計算、年末調整、社会保険の手続き | ○ 求人が求める労働基準法の基礎知識や、社会保険・所得税の出題範囲と重なる | 建設会社の人事職:人事・労務の実務経験と労働基準法の基礎知識が必須、担当職で月給35.2万円〜 |
| 社会保険労務スタッフ(社労士事務所・社労士法人) | 社会保険・労働保険の手続き代行、労務相談の対応 | △ 評価されるのは社会保険労務士の資格 | 社会保険労務士法人の求人:未経験可、月給23万〜45万円、社労士資格を歓迎 |
| 現場の管理職・チームリーダー | 部下の勤務の調整、休暇や両立の相談への対応 | ○ 部下の相談に制度で応じる知識になる | 資格名を指定する求人は確認できなかった |
出典:上の2件の求人(佐藤工業株式会社、社会保険労務士法人ときわ経営労務)。給与は経験・能力などで変わります。
あわせて取得すると強い資格
社会保険労務士
労務の専門職として、手続きの代行や相談の仕事をしたいなら、社会保険労務士の資格が、求人で歓迎される資格として名前が挙がります。ワークライフ・コーディネーターでは担えない手続き代行の業務に就けるようになる点が、いちばんの補完です。受験資格(学歴・実務経験・指定の国家試験の合格のいずれか)があるので、先に自分が満たしているかを確認しましょう。
労働法務士認定試験
同じ協会が主催する認定試験で、協会は、労働法に関する深い知識を持ち、労働契約や労働条件の適正化、労使紛争の解決を支援する専門家と説明しています。ワークライフ・コーディネーターが働き方の全体を広く学ぶのに対し、労働法を深く学びたい人の次の一歩になります。
ハラスメントアドバイザー認定試験
協会のサイトに試験ページがある認定試験で、ページ上の主催は一般財団法人 日本ハラスメントカウンセラー協会です。ワークライフ・コーディネーターの試験の主な内容には、労働契約の成立から終了までの労働法の理解や、ハラスメント対策が含まれます。職場のハラスメントの防止や相談対応を担当する人は、ハラスメントを未然に防ぎ、起きたときの危機を小さくする役割を学べるこの試験で、対応の中身を深められます。
出典:各試験の紹介(資格者部会のページ)|協会、ハラスメントアドバイザー認定試験|協会サイト、ワークライフ・コーディネーター認定試験ページ (2026年10月2日確認)
ワークライフ・コーディネーター認定試験に合格するための勉強法
出題項目は5章26項目。範囲が横に広い
出題項目は、5つの章に26項目あります。
- 第1章 総論(6項目):経済社会の現状、働き方改革、人口高齢化、子どもを産み育てやすい環境づくり、人材育成とリスキリング、ワークライフ・バランスの取り組み
- 第2章 テーマごとにみるワークライフ・コーディネート(8項目):柔軟な働き方、女性・若者の活躍、病気の治療・子育て・介護等と仕事の両立、長時間労働の是正、非正規雇用の処遇改善、転職・再就職支援、人手不足の解消政策、高齢者の就業推進
- 第3章 労働関係(5項目):労働契約の成立、賃金、労働時間・休憩・休日、休暇と休業、労働関係の終了
- 第4章 安全・健康面における職場環境の形成(4項目):安全衛生管理体制、安全衛生教育、健康の保持増進のための措置、快適な職場環境の形成
- 第5章 社会保障・税制度(3項目):労働保険、社会保険、所得税
統計や政策の知識から、条文の数字、税金までがひとつの試験に入っています。全部を同じ深さで覚えようとすると、時間が足りなくなります。
公式のサンプル問題11問で、問われ方を確かめる
協会のサイトには、サンプル問題が11問載っています。見ておきたい点は次の3つです。
- 「最も適切ではないものを1つ選びなさい」が11問中7問
4つの選択肢(ア〜エ)のうち、誤っている1つを選ぶ形です。1つずつ「正しいか、誤りか」を判断できないと、正解にたどり着けません - 空欄に入る語句の組み合わせを選ぶ問題がある
年次有給休暇の時季指定義務では、付与日数(10日)、取得させる日数(5日)、罰則の有無の3つを組み合わせる形で出ています。1つ覚え間違えると選べません - 図やグラフを読み取る問題がある
時間当たり労働生産性の国際比較のグラフから、空欄に入る国名を選ぶ問題が出ています
サンプル問題には、2022年や2023年の統計が出てきます。統計の数字や制度は毎年のように変わるため、テキストや白書で最新の数字を確認してから覚えましょう。
協会の公式テキストと公式精選問題集で、範囲と問われ方を押さえる
協会が案内している対策教材は、次のとおりです。
- 公式テキスト(マイナビ出版、336ページ、2,200円・税込):目次に「労働法改正情報」の項目がある
- 公式精選問題集(マイナビ出版、208ページ、1,980円・税込)
- SMART合格講座(17,600円・税込):動画講座。試験と同時に申し込むと3,300円引き。受講者には公式テキストが贈られる
独学なら、公式テキストで5章を一通り読み、サンプル問題と公式精選問題集で問われ方に慣れる流れが基本です。公開会場で受けた場合は、試験後に問題を持ち帰れます。CBT会場は、試験の約1週間後から1か月間、出題された問題と自分の解答、正答を確認できます。
直前期は、数字・期間・対象者を1つずつ確かめる
試験の前の1か月は、新しい分野を広げるより、似た制度の違いを確実に取ることに集中するほうが効率的です。
- 「何日間か」「いつまでか」「誰が対象か」を、制度ごとに書き出して覚える
- 「義務」か「努力義務」かが分かれる制度は、1つずつ分けて確認する
- 本番と同じ午前10時〜11時45分の枠を意識して、時間を計り、60問を通して解く練習をする
正解した問題も、「なぜ他の選択肢は誤りなのか」まで説明できるか確認しましょう。「最も適切ではないものを選ぶ」問題では、他の選択肢が正しい理由を言えることが、点数に直結します。
noteの直前ノートでは、この資格の対策教材を2種類用意しています。目的に合わせて選べます。
- ○×300問:選択肢1つ分の文章を○×で判断する問題集(問題サンプルあり)。試験で1つずつ正誤を判断する力を、1問10秒程度の練習で鍛えられます
- 実戦模試3回分:本番と同じ60問の4肢択一を、1回分ずつ通して解く問題集(問題サンプルあり)。解答編には、正解以外の選択肢を外す理由を載せています
どちらも、協会の出題項目や公開資料などをもとにしたオリジナルの問題で、協会の公式教材ではありません。2冊セットのマガジンもあるので、迷ったら、まず○×300問で苦手な分野を見つけ、次に実戦模試で通して解く順番がおすすめです。
取得した資格を仕事と転職に活かす進め方
今の職場で、制度を1つ確かめて使ってみる
合格したら、まず今の仕事で、学んだ制度を1つ使ってみましょう。たとえば、社員から年次有給休暇の相談を受けたときに、年10日以上付与される人には年5日を取得させる義務があることを前提に、取得状況を確認する、といった使い方です。管理職なら、部下の介護の相談に対して、選べる制度を一覧にして伝えるのも1つの方法です。
使った結果(相談への対応時間が短くなった、問い合わせが減ったなど)を記録しておくと、次のステップの材料になります。
職務経歴書では、資格名より「制度を使って変えたこと」を書く
資格欄に「ワークライフ・コーディネーター認定試験 合格」と書くだけでは、採用担当者には何ができる人なのか伝わりません。業務内容の欄に、次のように具体的に書きましょう。
- 「育児・介護の休業制度の相談窓口として、期間と給付の流れを1枚の資料にまとめ、社員からの同じ問い合わせを減らした」
- 「勤怠データから時間外労働が長い部署を洗い出し、上長へ面談を依頼した」
数字は自分の実績に合わせて書きます。資格欄には、正式名称、主催の協会名、取得年月を書き、社会保険労務士と間違われない書き方にします。
求人は、仕事内容の言葉で探す
資格名で探しても、求人は見つかりません。求人サイトでは「人事 労務」「給与計算」「社会保険 手続き」「労働基準法」のような仕事内容の言葉で探し、必須の経験が自分の経歴と合うかを確かめましょう。
必須の経験が足りない場合は、未経験でも応募できる労務スタッフの求人を選ぶか、今の職場で勤怠や休暇の管理に関わる役割を増やしてから応募します。
よくある質問
- ワークライフ・コーディネーターは意味ない資格ですか?
資格名を条件にした求人は確認できず、転職の決め手にはなりません。一方で、年次有給休暇、育児・介護と仕事の両立、労働時間、社会保険、所得税までを一通り学べるため、人事・総務・労務の担当者や管理職が、制度の知識を整理するために受ける意味はあります。
- 社会保険労務士とは何が違いますか?
社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づく国家試験で、合格して登録した人が、申請書類の作成や提出代行などの業務を行えます。ワークライフ・コーディネーターは協会の認定する民間資格で、資格を持つ人だけができる業務はありません。受験資格や試験の形も違います。
- 合格基準と合格率はどれくらいですか?
協会の案内ページには、合格基準は70%以上(問題の難易度により調整あり)、過去の平均合格率は35.7%と書かれています。回ごとの受験者数・合格者数は、確認できませんでした。60問で70%は42問が目安です。
- 次の試験はいつですか?
第10回は2026年10月18日で、申込は2026年9月10日に締め切られています。第10回より後の日程は、2026年10月2日時点で協会の日程表に載っていません。過去には第5回(2025年5月)から第9回(2026年6月)まで、3〜4か月おきに実施されています。勉強は、日程の発表を待たずに始められます。
- 独学で合格できますか?
公式テキスト、公式精選問題集、協会サイトのサンプル問題11問で、独学の準備は進められます。出題範囲が広いので、似た制度の数字や期間を1つずつ確認する練習が近道です。直前期の総仕上げには直前ノートもご活用ください。
- 認定カードを更新しないと、資格はなくなりますか?
なくなりません。協会は、有効期限が過ぎても認定の失効ではなく、授与された証書は一生変わらないと案内しています。ただし、有効期限内の認定カードを示したい場合は、2年ごとの更新(更新チェックテストと更新料)が必要です。
まとめ:あなたの次の一手
ワークライフ・コーディネーター認定試験は、資格名で転職が有利になる資格ではなく、労働と社会保障の制度を、60問の範囲で一通り学ぶ資格です。人事・労務の求人が見ているのは実務経験なので、資格は、経験を説明するときの知識の裏づけとして使うのが現実的です。
人事・総務・労務の担当者や管理職で、制度の知識を整理し直したいなら受験する価値があります。社労士のように手続きを代行する仕事に就きたいなら、最初から社会保険労務士の勉強を始めましょう。
参考
- ワークライフ・コーディネーター認定試験|全日本情報学習振興協会
- 出題項目|ワークライフ・コーディネーター認定試験
- サンプル問題|ワークライフ・コーディネーター認定試験
- 学習資料|ワークライフ・コーディネーター認定試験
- ワークライフ・コーディネーター認定試験の案内ページ|全日本情報学習振興協会
- 試験日程(令和7年度)|全日本情報学習振興協会
- 試験日程(令和8年~9年)|全日本情報学習振興協会
- 認定カード更新|全日本情報学習振興協会
- 社会保険労務士試験の概要|全国社会保険労務士会連合会 試験センター
- 社会保険労務士試験の受験資格|全国社会保険労務士会連合会 試験センター
- 社会保険労務士制度の概要|全国社会保険労務士会連合会 試験センター