消防設備士 甲種第5類は転職に有利?避難器具の仕事で評価される人・評価されにくい人

「消防設備士の甲種第5類を取れば、転職で有利になるのかな」 「受験資格もあって試験も大変そうなのに、取っても求人が少なかったらどうしよう」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、甲種第5類は、消防設備の点検・工事の仕事に就いている人、または就きたい人が、避難器具の工事まで任せられることを示せる資格です。免状に書かれた類の設備しか扱えない決まりのため、金属製避難はしご・救助袋・緩降機を建物に取り付ける工事には、この第5類の免状が必要です。避難器具を扱う会社では、その点が評価されます。

一方で、求人で「甲種第5類」と指定されることは多くなく、資格だけで採用が決まる資格ではありません。火災報知設備や消火器が中心の職場では、別の類を求められることもあります。

この記事では、消防試験研究センターの公表データと実際の求人をもとに、甲種第5類が転職でどう評価されるのかを解説します。

結論:消防設備士 甲種第5類は転職に有利?

結論は**「避難器具を扱う仕事では有利、資格単体では決め手にならない」**です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
消防設備の点検・工事の経験あり
+
甲種第5類あり
◎ 避難器具の工事(取り付け)まで任せられる人として見られる 避難器具の工事を扱う会社を探し、手当や担当範囲を確かめる
消防設備の点検・工事の経験あり
+
甲種第5類なし
○ 取得すると、避難器具の工事を自分の免状でできるようになる 受験資格を確かめて、次の試験に申し込む
未経験
+
資格なし(または取得予定)
△ 資格が先になくても、未経験歓迎で取得を支援する求人がある 乙種の取得や、入社後の取得支援のある会社を選ぶ

甲種の試験は、誰でも受けられるわけではありません。受験資格が必要です。詳しくは次の章で解説します。

消防設備士 甲種第5類とは?1分でわかる基本情報

消防設備士は、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備、自動火災報知設備などの消防用設備等の工事・整備に必要な資格です。試験は一般財団法人消防試験研究センターが実施しています。

資格は「類」に分かれていて、免状に書かれた類の設備しか、工事・整備・点検ができません。甲種第5類の対象は、金属製避難はしご、救助袋、緩降機です。まとめて「避難器具」と呼ばれる、火災のときに建物の上の階から地上へ逃げるための器具です。

資格には甲種と乙種があります。甲種は「工事・整備・点検」、乙種は「整備・点検」ができます。取り付ける工事ができるのは甲種だけです。

2026年度(令和8年度)試験の概要

項目 内容
実施 一般財団法人消防試験研究センター
対象設備 金属製避難はしご、救助袋、緩降機
できること 工事、整備、点検(乙種は整備と点検)
受験資格 あり(次の項目を参照)
試験日・申込 都道府県ごとに年に複数回(下の日程の例を参照)。居住地にかかわらず、希望する都道府県で受験できる
申込方法 電子申請または書面申請
受験手数料 6,600円(非課税)
試験方法 筆記(四肢択一のマークカード)と実技(写真・イラスト・図面などによる記述式)
筆記の出題 45問:消防関係法令15問(共通8問・類別7問)、基礎的知識10問、構造・機能・工事・整備20問
実技の出題 鑑別等5問、製図2問
試験時間 3時間15分
合格基準 筆記は科目ごとに40%以上かつ全体で60%以上、実技は60%以上
合格率 40.5%(2025年度・受験者4,226人)

出典:消防試験研究センター 甲種第5類、試験の方法・合格基準、試験科目及び問題数、試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種)、試験手数料一覧 (2026年10月3日確認) ※受験前に必ずセンターの最新の受験案内を確認してください。

筆記は、合格基準を問題数に直すと分かりやすくなります。各科目で40%以上は、消防関係法令なら6問以上、基礎的知識なら4問以上、構造・機能・工事・整備なら8問以上です。そのうえで45問のうち27問以上を正解する必要があります。得意な科目で稼いでも、1科目が基準を下回れば不合格です。

筆記には電気の問題がありません。公式の一覧表では、第5類の基礎的知識と構造・機能の電気の欄が「–」(試験問題がない)になっていて、出題は機械分野のみです。

2026年度(令和8年度)後期の試験日程の例

試験会場の都道府県 試験日 申込期間(電子・書面とも)
東京都 2026年11月8日(日) 9月7日〜9月18日
東京都 2026年12月5日(土) 10月13日〜10月23日
福岡県 2026年12月13日(日) 10月7日〜10月21日
愛知県 2027年2月14日(日) 1月4日〜1月12日
東京都 2027年2月28日(日) 1月4日〜1月15日
大阪府 2027年3月14日(日) 1月14日〜1月21日

出典:令和8年度後期 試験日程(消防設備士試験) (2026年10月3日確認。各行とも甲種第5類が実施される日です)

東京都は類ごとに試験日が分かれていて、甲種第5類の日は限られます。申し込む前に、全国一覧で受験したい都道府県の日を確かめてください。

甲種は受験資格が必要

乙種は誰でも受験できますが、甲種には資格が要ります。主なものは次のとおりです。

  • 受験する類以外の甲種免状を持っている(例:甲種第4類の免状がある人が、第5類を受ける)
  • 乙種免状の交付後に2年以上、工事整備対象設備等の整備の経験がある
  • 消防用設備等(受験する類の設備に限る)の工事の補助者として5年以上の実務経験がある
  • 電気工事士、電気主任技術者、管工事施工管理技士(1級・2級)、建築士(1級・2級)、配管技能士(1級・2級)、技術士、給水装置工事主任技術者などの資格を持っている
  • 大学・短大・高専で、機械・電気・工業化学・土木・建築に関する学科を修めて卒業した(高校は、これらの学科の卒業か、関係する授業科目を8単位以上修めて卒業)

ここで押さえておきたいのが、電気工事士や建築士などの資格は、甲種の受験資格にはなっても、第5類の試験科目の免除にはならない点です。公式の免除一覧表では、第5類で電気工事士・電気主任技術者の免状だけを持つ場合の試験時間は3時間15分で、免除のない人と同じです。建築士などは、免除の対象としても載っていません。一方、他の類の甲種免状(第1〜4類のいずれか)を持っている人は、法令の共通の問題が免除され、試験時間が3時間に短縮されます。

出典:甲種の受験資格、試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種) (2026年10月3日確認。乙種免状後の整備経験として認められる範囲など、受験資格の細かい条件と必要書類は、申込前に受験する都道府県の支部へ問い合わせてください)

合格率は3年連続で3〜4割台

年度 受験者数 合格者数 合格率
2023年度 3,581人 1,240人 34.6%
2024年度 3,681人 1,288人 35.0%
2025年度 4,226人 1,712人 40.5%

出典:試験実施状況(令和5〜7年度の各月)|消防試験研究センターの甲種第5類の行を、各年度の4月から翌年3月まで合計して算出(2026年10月3日確認)

受験資格を満たした人が受けても、合格するのは3人に1人から5人に2人です。筆記と実技の両方で基準を満たす必要があります。

転職で消防設備士 甲種第5類が評価される理由

求人票の多くは、類まで指定せず「消防設備士」と書く

リクルートエージェントで「消防設備士」と検索した上位30件の求人を開いて、消防設備士の類が書かれているかを確かめました(2026年10月3日確認)。類まで書かれていたのは6件です。内訳は次のとおりです。

  • 甲種第4類を挙げている求人が5件(火災報知設備の施工管理や保守メンテナンスなど。うち1件は「第1〜4類のいずれか」)
  • 「甲種・乙種いずれかの第1〜5類」としている求人が1件

甲種第5類だけを条件にした求人は、この30件にはありませんでした(検索結果には消防設備士と関係の薄い求人も混じっています)。類まで書いていない求人のほうが多く、書いてある場合は火災報知設備を扱う第4類が目立ちます。これは「甲種第5類に価値がない」という意味ではありません。推測ですが、点検や工事の会社はさまざまな設備をまとめて請け負うため、求人票では類を細かく書かず、入社後に必要な類を取らせる会社が多いのだと思われます。

避難器具を扱う会社では、甲種の免状が評価される

避難器具の工事や点検を仕事の中心にしている求人では、第5類が直接役に立ちます。実際の求人では、次のような書き方がされています。

  • 避難器具を含む設備工事部門の管理職(サイボウ・東京):自動火災報知設備、弱電設備、避難器具などの新設・増設・改修工事を行う部門の管理を任される。歓迎資格に消防設備士甲種があり、資格取得に向けた勉強会や資格手当があると書かれている
  • 消防設備管理技術者(三菱電機インフラテクニカ・神戸):警報設備・消火設備・避難器具など消防設備全般の設計施工・保守・点検を担当する。「消防設備士甲種・乙種いずれかの1〜5類」などのいずれかが必須で、第5類の免状で応募条件を満たせる
  • 避難器具メーカーの営業職(オリロー・東京):緩降機・避難はしごなどを製造するメーカーで、自社製品の営業から納入手配までを担当する。歓迎に消防設備士有資格者が挙がっている(設置作業そのものはない)

出典:サイボウ 東京の求人、三菱電機インフラテクニカの求人、オリローの求人(リクルートエージェントの個別求人。2026年10月3日確認)

資格手当は「甲種・乙種」の区分で書かれる例がある

確認した求人では、資格手当は類ごとではなく、「甲種」「乙種」の区分で書かれていました。名古屋市の消防設備会社の求人(有限会社佐々木防災)では、消防設備士乙種が月3,000円、甲種が月5,000円と書かれています。大阪府の会社の求人(木内ポンプ)では、資格手当が3,000円からで、全種類を取ると最大31,000円と書かれており、取る資格が増えるほど手当が積み上がる会社もあります。

月5,000円なら年額6万円です。受験手数料6,600円は、手当だけで見れば2か月以内に戻る計算です(手当の有無・金額は会社により異なります)。

出典:佐々木防災の求人、木内ポンプの求人(エンゲージの個別求人。2026年10月3日確認)

消防設備士 甲種第5類が転職で有利にならないケース

有利にならないケースも、正直にお伝えします。

(1)避難器具以外が中心の職場を選ぶ場合

免状に書かれた類の設備しか扱えません。第5類の免状では、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、消火器などの工事・整備はできません。実際に、火災報知設備の施工管理を募集するニッタンの求人は、甲種第4類を必須にしています(リクルートエージェントの個別求人。2026年10月3日確認)。

応募先が日常的に扱う設備を、求人票と面接で確かめましょう。避難器具の割合が低い会社なら、その会社が扱う設備に合った類を取るほうが、仕事の幅が広がります。

(2)経験がなく、資格だけで勝負しようとする場合

確認した未経験歓迎の求人には、入社後に資格取得を支援すると書かれたものが目立ちました。

  • 横浜市の点検会社(E&Eシステム):職種・業界の経験は一切不問で、消防設備士の取得を支援する。月給20万〜24万円
  • 東京都の防災設備会社(ウラノ設備):未経験歓迎で、試用期間中は就業時間中に資格取得の勉強時間を設ける
  • 名古屋市の消防設備会社(佐々木防災):建設業界や消防設備の知識は問わず、資格取得のお祝い金もある

出典:E&Eシステムの求人、ウラノ設備の求人(リクルートエージェントの個別求人)、佐々木防災の求人(エンゲージの個別求人)(2026年10月3日確認)

資格が先になくても入れる求人があるので、「甲種第5類を取らないと転職できない」わけではありません。先に入社して、乙種や点検の実務を積みながら取る進め方もあります。

(3)受験資格を満たさないまま、取得を前提に転職を計画する場合

甲種は、受験資格を満たしていないと申し込めません。申込のときは、既得免状の写しなどの必要書類を添える必要があり、書類が足りないと受験できない場合があります。「次の試験で取って、そのまま転職する」という計画を立てる前に、自分がどの受験資格に当てはまるかを、受験する都道府県の支部へ確認しましょう。当てはまらない場合は、乙種を先に取る、あるいは取得支援のある会社に入って実務を積むなど、別の道を選べます。

出典:受験の準備|消防試験研究センター、甲種の受験資格(2026年10月3日確認)

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。避難器具を扱う仕事とセットで見せれば、他の応募者との差になる資格だということです。次の章で、経験別の活かし方を見ていきます。

【経験別】あなたの場合、消防設備士 甲種第5類は武器になる?

消防設備の点検・整備の経験者は、工事まで任せられる人として見せられる

もっとも評価されやすいのが、すでに点検や整備の仕事をしている人です。乙種の免状があれば、避難器具の整備・点検はできます。甲種第5類を加えると、避難器具を新しく取り付ける・交換する工事まで自分の免状で担当できることになります。

公式の過去問題の実技(製図)には、緩降機の取付け具をコンクリートに固定する金属拡張アンカーが何本必要か、アンカー同士の最小間隔は何ミリか、を計算式つきで答える問題があります。試験のためにこうした計算を練習した経験は、取付け具の固定を根拠をもって考えられることを、職務経歴書や面接で説明する材料になります。

乙種の免状を持っている人は、乙種免状の交付後に2年以上、整備の経験を積むと、甲種の受験資格を満たせます。今の仕事で整備を続けながら、受験の準備ができます。

建築・設備・電気の経験者は、避難器具の設置工事への足がかりになる

建築・設備・電気・機械の学科を卒業している人や、電気工事士、建築士、管工事施工管理技士などの資格を持っている人は、学歴や資格だけで甲種の受験資格を満たせることがあります。消防設備の実務経験がなくても受けられるのが、この道の強みです。

避難器具の工事には、取付け具を建物に固定する作業があります。建築や設備の現場経験があれば、工事の段取りや他の工事業者との調整を生かせます。ただし、電気工事士の免状があっても第5類の科目の免除はないので、勉強時間は免除なしで見積もってください。

未経験なら、受験資格を満たす道と、入社後の取得支援を比べる

消防設備の仕事が未経験で、受験資格もない人は、すぐには甲種を受けられません。選べる道は主に2つです。

  • 誰でも受けられる乙種(第5類を含む)から取り、整備の経験を積んで甲種へ進む
  • 取得支援や資格手当のある会社に入り、働きながら乙種や他の類を取る

求人では、入社後に資格取得を支援する例が確認できました。応募前に、どの類を、いつまでに、会社の費用で取らせてもらえるかを確かめておきましょう。

取得済みなら、資格より「何を取り付け、何を直したか」を伝える

求人側が見たいのは、免状で何をしてきたかです。避難器具の種類(金属製避難はしご、救助袋、緩降機)、取り付けた建物の種類、点検で見つけた不具合とその対応を、具体的に書きましょう。

消防設備士 甲種第5類を活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 年収の目安(求人記載)
消防設備の点検スタッフ(未経験可) 避難器具を含む消防設備の法定点検、不具合の補修 △ 入社後に取得を支援する求人がある。取得後は手当の対象になる例がある 想定年収300万〜468万円程度の例
消防設備の点検スタッフ・責任者(経験者) 約30種類の防災設備の定期点検、チームの工程・品質・安全の管理 ○ 乙種・点検の実務経験・点検資格者のいずれかが条件の例がある 想定年収450万〜630万円の例
避難器具などの工事部門の管理職 新設・増設・改修工事の積算、施工管理、組織の管理 ◎ 歓迎資格に甲種が挙がる 想定年収500万〜800万円の例
建物の消防設備管理技術者 警報設備・消火設備・避難器具などの設計施工・保守・点検 ◎ 甲種・乙種の第1〜5類などのいずれかが必須で、第5類で応募できる 想定年収580万〜760万円の例
避難器具メーカーの営業 自社製品の提案・見積・設置の打ち合わせ、納入手配 △ 歓迎止まり。設置作業はない 想定年収312万〜354万円の例

出典:リクルートエージェントの個別求人(E&Eシステム、ウラノ設備、サイボウサービス、サイボウ 東京、三菱電機インフラテクニカ、オリロー)、エンゲージの個別求人(佐々木防災)(2026年10月3日確認) ※想定年収は、固定残業代を含む求人があります。会社・地域・経験で大きく変わります。

「点検スタッフ(未経験可)」の幅は、E&Eシステム300万〜350万円、佐々木防災320万〜430万円、ウラノ設備370万〜468万円の3社を並べたものです。経験者向けの求人は、同じ点検の仕事でも、責任の範囲が上がるぶん年収の幅が上がります。年収は資格そのものより、任される仕事の範囲で決まると読み取れます。

あわせて取得すると強い資格

消防設備士の他の類(甲種)

消防設備士は、類ごとに扱える設備が違います。第1類はスプリンクラー設備や屋内消火栓設備、第6類は消火器というように、免状の類が増えるほど扱える設備が広がります。他の類の甲種免状を持っていれば、甲種第5類の受験資格になり、法令の共通の問題も免除されます。逆に、第5類の免状も、他の類を受けるときの受験資格になり、公式の免除一覧表では試験時間が短縮されます。

求人では、類を名指しする場合に第4類が目立ちました。避難器具だけでなく、点検や工事の会社が日常的に扱う設備にも対応できると、応募できる求人が増えます。

消防設備点検資格者

点検の仕事の求人では、消防設備士と並べて「いずれか必須」の条件に挙がる例があります。サイボウサービスの点検スタッフの求人では、「消防設備点検の実務経験」「消防設備士(乙種)」「点検資格者1種・2種」のいずれかが必須です。点検の仕事を中心に考える人は、持っていると応募できる求人が広がります。

消防設備士 甲種第5類に最短で合格するには

公式の過去問題で、出題の形を先につかむ

センターのサイトに、甲種の筆記・実技の過去問題と解答が公開されています(令和7年度以前に出題されたもの)。第5類には、次のような問題があります。

  • 法令:避難器具の設置個数を算出するとき、算定の基準となる人員数を2倍に読み替えられる条件(特定主要構造部と直通階段の組み合わせ)を選ぶ
  • 構造・機能:金属製避難はしごのうち、つり下げはしごの突子の設置目的を選ぶ
  • 規格:緩降機の調速器について、規格省令に定められていないものを選ぶ
  • 実技(鑑別等):金属拡張アンカーボルトの図から、呼び径とスリーブの長さを示す部分を記号で答える
  • 実技(製図):緩降機の取付け具について、必要な金属拡張アンカーの最少本数と最小間隔を、計算式を示して答える

出典:過去に出題された問題(甲種)|消防試験研究センター(2026年10月3日確認)

つまずきやすいのは、数字の覚え分けと、実技の計算

独学でつまずきやすいのは次の3点です。

  • 似た数字が並ぶ
    設置が必要になる階と収容人員、器具ごとの数値など、似た数字が並びます。器具の種類と数字を入れ替えた選択肢で迷いやすくなります
  • 各科目に40%の足切りがある
    科目ごとに40%以上を取らないと、合計で27問に届いても不合格になります
  • 実技は記述式で、電卓が使えない
    試験会場では定規類や電卓を使えず、持ち物はHBまたはBの鉛筆かシャープペンシルと消しゴムとされています。アンカー本数の計算は、手計算で慣れておく必要があります

出典:受験の準備|消防試験研究センター(2026年10月3日確認)

直前期は、科目ごとの正解数を数えて足りない科目を見つける

試験前の1〜2か月は、新しい知識を増やすより、科目ごとに足りない問題数を数えることに集中するのが効率的です。本番と同じ45問を通して解き、40%の足切りに近い科目を先に引き上げます。迷う数字は、○×で素早く判断できるかを確かめてから深掘りします。

noteには、甲種第5類の教材が2冊あります(どちらも筆記試験の対策で、実技は含まれていません)。使い分けは次のとおりです。

  • 実戦模試3回分:本番と同じ科目配分(消防関係法令15問・基礎的知識10問・構造機能及び工事整備20問)の45問を3回分、全135問。問題サンプルあり。科目ごとの正解数を数えて、足りない科目を見つける
  • ○×300問:筆記試験の出るところを○×にまとめた問題集。問題サンプルあり。迷う数字を1周で確かめる

実技の製図は、公式の過去問題で計算式を書く練習をしてください。

消防設備士 甲種第5類を活かして転職を成功させる進め方

避難器具を扱う求人を探す

求人検索では「消防設備士」だけでなく、「消防設備点検」「避難器具」「防災設備」「消防設備 施工管理」などの言葉でも探してみましょう。類まで書かれていない求人が多いので、応募する前に、会社が日常的に扱う設備に避難器具が含まれているかを確かめるのが近道です。

職務経歴書で資格と経験をつなげる

「消防設備士甲種第5類 取得」と書くだけでは伝わりません。「避難器具(緩降機・救助袋)の新設工事で取付け具の固定位置を決め、アンカーの本数を計算した」「点検で見つけた避難はしごの不具合を工事の提案につなげた」など、免状で何をしたかを具体的に書きましょう。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを1人で進めるのは、仕事をしながらだとかなり大変です。そして何より、甲種第5類を持っている人ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由はシンプルで、この資格の価値は求人票に書かれにくく、自分1人で伝えても条件に反映されにくいからです。求人票に類が書かれていなくても、避難器具を扱う仕事が含まれていることがあります。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

資格手当や年収の条件を相談できる

「甲種の手当は付きますか」「類ごとに手当が増えますか」と、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントは企業との間に入り、あなたの代わりに条件を確かめてくれます。

「避難器具の新設工事の経験があり、甲種第5類を持っている」という強みを、企業が評価しやすい形で伝えてくれるので、同じ経歴でも提示される条件が変わることがあります。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「避難器具の工事にもっと関わりたい」「点検から工事の仕事へ移りたい」「年収は今より上げたい」。希望を伝えるだけで、条件に合う求人を選んで紹介してくれます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあり、自分で探すだけでは出会えない選択肢が増えます。

入社前に職場の実情を確認できる

扱う設備のうち避難器具がどのくらいを占めるのか、1日に何件の現場を回るのか、緊急対応や休日・夜間の出動はあるのか、資格取得の費用を会社が出すのか。入社してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に確認できます。

書類や面接の対策をしてもらえる

免状を職務経歴書にどう書けば評価されるか、面接で避難器具の工事経験をどう伝えればいいかを、業界を知る担当者がアドバイスしてくれます。

面接の日程調整を任せられる

面接の日程調整や企業とのやり取りを代わりにしてくれるので、今の仕事を続けながらでもスムーズに転職活動ができます。

さらに、これらはすべて無料です。公式サイトでも、各サービスの転職支援は無料と案内されています。エージェントは採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みなので、求職者がお金を払うことはありません。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • 免状を取ったのに、今の会社では手当も担当の範囲も変わらない
  • 点検の仕事から、避難器具などの工事の仕事へ移りたい
  • 今の年収に満足していない
  • 扱う設備が偏っていて、他の類も取って幅を広げたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と免状ならどんな求人があるのか質問し、答えてもらうだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
建設転職ナビ(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(建設・設備) 建設・不動産に特化し、設備管理や施工管理の求人を扱う。資格から消防設備士(甲種・乙種)、消防設備点検資格者を選んで探せる 消防設備や設備工事の仕事に絞って探したい人
ビルメン転職ナビエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(ビル設備管理) ビル設備管理・電気主任技術者・施工管理の転職支援。資格から消防設備士(甲種・乙種)、消防設備点検資格者を選んで探せる 建物の設備管理の仕事で消防設備士を生かしたい人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 求人数が多く、消防設備の会社だけでなく、メーカーや設備管理の仕事も比べられる 業界を決めきれていない人

迷ったら、業界特化型と総合型を1社ずつ、2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の市場価値がより正確にわかります。

よくある質問

消防設備士の甲種第5類は意味ない資格ですか?

避難器具を扱わない職場では活かしにくいですが、避難器具の工事や管理を行う会社では、甲種の免状が歓迎資格や応募条件になっています。避難器具を扱う仕事を選べば意味のある資格です。

未経験でも受験できますか?

甲種には受験資格が必要です。実務経験がなくても、他の類の甲種免状、電気工事士や建築士などの資格、指定の学科の卒業などで受験できることがあります。誰でも受けられるのは乙種です。

甲種と乙種の違いは何ですか?

甲種は工事・整備・点検ができ、乙種は整備・点検ができます。避難器具を新しく取り付ける工事をするなら甲種が必要です。受験手数料も甲種が6,600円、乙種が4,400円と違います。

電気の知識は必要ですか?

第5類の筆記には電気の問題がありません。基礎的知識と構造・機能は機械分野のみです。ただし、電気工事士の免状を持っていても、第5類の試験科目は免除されません。

独学で合格できますか?

公式サイトで過去問題と解答が公開されているので、独学で対策を始められます。ただし、実技の製図は計算式を書く練習が必要で、筆記は科目ごとに40%以上という基準もあります。直前期の総仕上げには直前ノートもご活用ください。

取った後に更新は必要ですか?

免状そのものの更新ではなく、都道府県知事が行う講習を受ける義務があります。免状の交付後の最初の4月1日から2年以内、その後は受講後の最初の4月1日から5年以内ごとに受けます。現在、消防設備の仕事をしているかどうかに関わらず、免状を持つ人に義務があります。

まとめ:あなたの次の一手

消防設備士の甲種第5類は、避難器具の工事まで任せられる人材だと示せる資格です。一方で、求人票で第5類が名指しされることは少なく、資格単体で採用が決まるわけではありません。

今の経験と、避難器具をどのくらい扱う仕事に進みたいかを確かめたうえで、次の一手を選んでください。

参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。